マカオの新規大型IR、カジノテーブル認可数に注目集まる

マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年7月まで14ヶ月連続で前年割れとなっている。市場の低迷が長期化している要因として、中国本土の反汚職キャンペーンによるVIPギャンブラーのマカオ渡航意欲減退などが挙げられる。

そんな中、マカオのカジノ市場に大きな変化が出現している。かつてカジノ売上の7割以上を占めたVIPルームの割合が縮小する一方、マスゲーミング(平場)が過半数取り、主役に躍り出た。マカオのカジノ経営ライセンスを保有する6陣営も、市場の変化に対応し、マスをターゲットとするIR(統合型リゾート)づくりを進めている。

6陣営の一角にあたるメルコ・クラウン・エンターテインメント(以下、MCE)は8月5日、同社がマカオ・コタイ地区で建設を進めている大型IRプロジェクト「スタジオ・シティ」について、今年10月27日に開業することを発表した。「スタジオ・シティ」はレジャー・エンターテインメント要素をふんだんに盛り込んだマスをメインターゲットとした施設と位置付けられている。事前の発表によるとカジノフロアのゲーミングテーブル数は設計上500台収容可能とされる。

マカオでは、ゲーミングテーブルの設置に関して、許認可制となっている。カジノ運営会社が申請を行い、カジノ監理当局による審査を経て台数が決定する。カジノ運営企業はより多くのテーブルを獲得したいわけだが、マカオ政府は2013年から2020年までの間の新規ゲーミングテーブル認可を年平均3%以内に抑制とするとの方針を明らかにしている。

このような状況の下、スタジオ・シティがどの程度のテーブル数認可を獲得できるかに注目が集まっている。

マカオの日刊英字経済紙「ビジネスデイリー」が8月10日付紙面で報じた記事によると、MCEのローレンス・ホー共同会長兼CEOは同紙の取材に対し、400台を確保したい意向を語ったという。また、仮に400台を下回った場合、財務モデリングに深刻な影響を与えるとの懸念を示したとのこと。

マカオのカジノ監理当局が公表している最新データによると、今年第2四半期末時点のマカオのゲーミングテーブル数は5814台。

メルコ・クラウン・エンターテインメントがメディアに公開した建設中の大型IR「スタジオ・シティ」のカジノフロア(資料)=マカオ・コタイ地区、2015年8月5日—本紙撮影

メルコ・クラウン・エンターテインメントがメディアに公開した建設中の大型IR「スタジオ・シティ」のカジノフロア(資料)=マカオ・コタイ地区、2015年8月5日—本紙撮影

大型IR「スタジオ・シティ」外観(資料)=マカオ・コタイ地区、2015年8月5日—本紙撮影

大型IR「スタジオ・シティ」外観(資料)=マカオ・コタイ地区、2015年8月5日—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は4月30日、中国本土の警察当局と連携し、「練功券」と呼ばれる銀行員のトレーニン…
  2.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  3.  マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は5月1日、今年(2024年)4月の月次カジノ売上(粗収益、…
  4.  マカオでは例年通り5月1日に海開きを迎えた。10月31日までがマカオの遊泳シーズンとなる。 …
  5.  マカオにとって最大の旅客ソースとなる中国本土で5月1日から5日までが5連休(「五・一」労働節ゴー…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  5.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  3.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun