マカオ当局、カジノ全面禁煙化による減収幅を最大4.6%と試算

健康意識の高まりを受け、マカオでも公共エリアの禁煙化が進んでいる。マカオにおよそ30あるカジノ施設についても、ハイローラーと呼ばれる大口ギャンブラーを対象としたVIPルームが分煙だが、平場にあたるマスゲーミングフロアが喫煙ルームが設置した上で禁煙となっている。

マカオ政府では、VIPルームの禁煙化及びマスゲーミングフロアの喫煙ルームの廃止を含むカジノフロアの全面禁煙化を目標に掲げている。しかしながら、目下、マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年8月まで15ヶ月連続で前年割れとなり、今年1〜8月の累計カジノ売上は36.5%減の1588.82億パタカ(日本円換算:約2兆3883億円)にとどまるなど、低迷が長期化の様相を呈している。歳入の約8割をカジノ税収が占め、人口の10人に1人がカジノ従業員ということもあり、カジノ運営企業だけではなく、一般市民の間からも健康面でのメリットは理解できるものの、全面禁煙化に伴う顧客流出により一層のカジノ売上減につながることで雇用へのマイナス影響などを懸念する声が出ている状況だ。

マカオの政府系放送局TDMが9月24日午後のラジオニュースで報じた内容によると、マカオ政府衛生局は同日、カジノ監理部門にあたる博彩監察協調局との初期評価として、カジノ全面禁煙化による減収幅は2.76〜4.6%との予測を明らかにしたという。

マカオ衛生局は今年8月、マカオ立法会議員からの質問に対して書面で回答した際、カジノ全面禁煙化を実施した場合、一部の喫煙者のマカオ訪問は減少するが、新たに禁煙志向のユーザーを呼び込むことでバランスが取れるとする考えを示していた。

マカオのカジノ施設のマスゲーミングフロア(平場)に設置されている喫煙ルーム(資料)=2015年5月—本紙撮影

マカオのカジノ施設のマスゲーミングフロア(平場)に設置されている喫煙ルーム(資料)=2015年5月—本紙撮影

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