全通後初の休日に課題残す―広珠都市間鉄道

大晦日に全線開通した広珠都市間鉄道(廣珠城際鐡路)が初の休日となる元旦を迎え、多くの利用客で賑わった。鉄道の開通による利便性が向上した事実は確かだが、開通前夜の突然の運賃値上げや自動券売機の未整備といった問題による不満の声も聞かれた。

2日付地元有力紙「澳門日報」が報じた。元旦は好天に恵まれ、多くの旅客が広珠都市間鉄道を利用して広州方面へ出かけたという。マカオから關閘、拱北イミグレーション経由で徒歩アクセス可能となる新しい発着駅「珠海駅」では朝から乗車券を求める利用客で混雑していたというが、この日は29台ある自動券売機のうち12台しか稼働しておらず、また、いわゆる「回郷証」(香港・マカオ居民のための中国本土往来パス)やクレジットカード未対応とあり、有人窓口が長蛇の列となった。午前、午後ともに満席の状態が続いたため、列に並んだ結果、2時間以上先の列車チケットしか空席がないという状況もあり、結局従来型の移動手段である高速バスへとシフトせざるを得ない利用者もいたという。こういった不手際に加え、開通前夜に当初予定の二等車45元から70元への急な値上げがあったことに対する不満を口にした利用者も少なくなかった。

開通間もない時期に迎えた初の休日とあり、いわゆる記念乗車組みが多かったとみられる。現在、珠海と広州南の間はピーク時期で6時半から23時までの間に35往復を運行しており、今後自動券売機の整備や需要状況に応じた本数増対応などによる混雑解消策の検討が急務だ。多くの課題が見えたものの、これまで鉄道空白地帯だった広州と珠海、マカオの間に颯爽と登場した高速鉄道の存在価値、可能性は非常に大きいといえる。

広珠城軌に投入される「和諧号CRH1型」(写真は広深線の同型車輌)―本紙撮影

広珠城軌に投入される「和諧号CRH1型」(写真は広深線の同型車輌)―本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオで複数のカジノIR(統合型リゾート)を運営するサンズチャイナ社は7月25日、今年第2四半期…
  2.  マカオ・コタイ地区にある東亜運動会体育館(通称:マカオドーム)で7月26日午後、マカオ警察総局と…
  3.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は7月26日、今年第2四半期(2024年4〜6月期)の雇用…
  4.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  5.  マカオ治安警察局は7月26日、マカオ警察総局による指揮の下、マカオの良好な治安環境の保護・維持を…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年8月号
(vol.134)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun