大型カジノIR「パリジャンマカオ」開幕…総工費2740億円=目玉は1/2サイズのエッフェル塔

米国、マカオ、シンガポールでカジノIR(統合型リゾート)を運営する米ラスベガスサンズグループ(LVS)傘下でマカオのカジノ経営ライセンスを保有する6陣営の一角、サンズチャイナ社がマカオ・コタイ地区で開発を進めてきた大型IR「パリジャンマカオ」が9月13日午後8時18分に開幕した。

これまでに公表された情報を総合すると、パリジャンマカオはフランス・パリがテーマのIRで、プロジェクト総工費は約27億米ドル(日本円換算:約2742億円)。2分の1スケール(約160メートル)のエッフェル塔のレプリカ、客室数3000室のホテル、ゲーミングテーブル410台とスロットマシン1600台が並ぶカジノ、170店が軒を連ねるショッピングモール、広さ5200平米のコンベンション施設、1200席のシアター、スパ、ウォーターパークなどで構成される。開業時の従業員数はおよそ6000人とのこと。

目玉施設となるエッフェル搭の7階と37階には展望台が設けられており、両展望台へアクセス可能な入場券の価格は平日で大人1人168パタカ(約2140円)。リゾート内には、エッフェル塔のほかにも凱旋門などパリを代表する複数の建造物が1/2サイズで再現されているという。

パリジャンマカオのエッフェル塔で開催されたオープニングセレモニーの様子=9月13日、マカオ・コタイ地区-本紙撮影

パリジャンマカオのエッフェル塔で開催されたオープニングセレモニーの様子=9月13日、マカオ・コタイ地区-本紙撮影

サンズチャイナ社はマカオ半島でサンズマカオ、コタイ地区でヴェネチアンマカオ、プラザマカオ、サンズコタイセントラルの大型IRを運営しており、6軒のホテルを併設する。パリジャンマカオを加えた同社のホテル数は7軒、客室提供数はマカオ市場全体の3分の1超を占める1万3千室にも達する。LVSとサンズチャイナがマカオ政府から獲得した開発区画は6で、今回のパリジャンが最後の区画にあたる。2004年のサンズマカオのオープンから12年の時を経て、すべての開発計画が完了したことになる。

なお、LVSはかねてより日本におけるカジノIR事業への進出意向を示している。同社のシェルドン・アデルソン会長は、9月13日午後に開催されたパリジャンマカオのオープニング記者会見の場においても、将来的な進出候補地として日本を挙げ、引き続き高い関心を持っていることを公言したかたちとなった。

マカオ・コタイ地区は大型カジノIR集積地区として知られ、今年8月22日に米ウィンリゾーツ系のウィンパレスがオープンしたばかり。マカオの月次カジノ売上は昨年6月から今年7月まで26ヶ月連続で前年割れだったが、新IRの開幕効果などもあり、8月には27ヶ月ぶりにプラスに転じた。コタイ地区では2017年から18年にかけて複数の大型IRのオープンが予定されており、カジノ売上の底上げに注目と期待が集まっている。

パリジャンマカオのオープニング記者発表会に出席し、自身が描いたマカオでの夢が現実のものになったと感慨深く語ったLVSのシェルドン・アデルソン会長=9月13日、マカオ・コタイ地区-本紙撮影

パリジャンマカオのオープニング記者発表会に出席し、自身が描いたマカオでの夢が現実のものになったと感慨深く語ったLVSのシェルドン・アデルソン会長=9月13日、マカオ・コタイ地区-本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ治安警察局は7月26日、同局の管轄下にある特警隊が同月27日午前9時から正式にタイパ島北安…
  2.  マカオで複数のカジノIR(統合型リゾート)を運営するサンズチャイナ社は7月25日、今年第2四半期…
  3.  マカオ・コタイ地区にある東亜運動会体育館(通称:マカオドーム)で7月26日午後、マカオ警察総局と…
  4.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は7月26日、今年第2四半期(2024年4〜6月期)の雇用…
  5.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…

ピックアップ記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  4.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  5.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年8月号
(vol.134)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun