マカオの大型IRパリジャンマカオのレジオネラ菌問題依然全面解決せず=在郷軍人病患者が潜伏期間中に滞在してから約半年

今年(2017年)4月21日、香港の在郷軍人病(退役軍人病、レジオネラ肺炎)患者3人が発病前の潜伏期間中にマカオの大型IR(統合型リゾート)パリジャンマカオに滞在、宿泊していたことが明らかとなった。患者は66〜84歳の男性で、今年1〜3月にかけて発病したという。

当時、マカオ政府衛生局(SSM)による検査でホテルの給水システムがレジオネラ菌に汚染されていることが明らかとなり、旅遊局の協力の下、厳格な予防措置を命じるとともに、水質検査とレビューが繰り返し実施された。また、ホテル側でも複数回にわたってホテル客室の給水システムの部分消毒するとともに、9月には消毒システムを交換するなどの対応を講じてきたという。

SSMが12月1日に発出したプレスリリースによれば、SSMが10月17日から25日にかけて実施したレビューにおいて、ホテル内の97件(客室57、共用エリア40)から水のサンプルを採取。ホテル側でも、10月10日から27日にかけて229件の水のサンプル及び29件のホテル客室の拭き取りサンプルを採取した。SSMがこれらを分析したところ、SSMとホテル側がホテル客室内で採取した計163件、ホテル側がホテル客室内のタンクとポンプで採取した25件、プール8件、噴水7件の水のサンプルはいずれも陰性だったものの、ホテル側が採取したホテル客室内の取水口の拭き取りサンプル21件のうち1件(シャワーヘッド)からレジオネラ菌が検出され、濃度は200CFU/SWABだった。

一方、6階以下の共用部分でSSMが採取した水のサンプル40件のうち21件からレジオネラ菌が検出され、最高濃度は135.1CFU/ml、平均濃度は13.2CFU/mlだった。ホテル側が共用部分から採取したサンプル83件のうち4件からレジオネラ菌、2件から血清群1が見つかった。これらが見つかったのはショッピングモールのトイレ、プールの更衣室、レストランのトイレ、地下1階の温水タンク(3〜6階に供給)など。

SSMでは、検査結果からホテル客室の給水システムにおけるレジオネラ菌汚染の大部分が排除されたが、共用エリアについては依然として汚染されているとし、ホテルに対して給水システムの監視の継続、専門家に依頼して解決策を講じることなどを含む速やかな対処、予防措置による在郷軍人病感染リスクの低減を求めた。SSMでは、今後も関連部門と連携してレビューを繰り返し実施するとした。

在郷軍人病はレジオネラ菌が引き起こす伝染病の一種で、菌を含む水が空調などを通じて飛散することによる空気感染すると考えられている。レジオネラ菌は多様な環境下に存在するが、20〜45℃の温水で成長しやすく、水のタンク、スパプール、噴水、家庭で用いられる医療用吸入器などから見つかることも多いとのこと。症状としては、発熱、空咳、呼吸困難、倦怠感、頭痛、筋肉痛、腹痛、下痢などが挙げられ、抗生物質による治療が可能とのこと。

パリジャンマカオは米ラスベガスサンズグループのサンズチャイナ社が運営するフランス・パリがテーマの大型IRで、2016年9月にオープンしたばかり。2分の1スケール(約160メートル)のエッフェル塔のレプリカ、供給客室数およそ3000室のホテル、カジノ、ショッピングモール、コンベンション施設、シアター、スパ、ウォーターパークなどで構成される。

パリジャンマカオ外観(資料)=マカオ・コタイ地区、2016年6月-本紙撮影

パリジャンマカオ外観(資料)=マカオ・コタイ地区、2016年6月-本紙撮影

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