マカオドッグレースの退役レース犬、全頭の里親決まる

マカオは豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はその他のギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。

そのうちのひとつ、マカオ逸園カニドローム社の運営による「ドッグレース」がコンセッション満期を迎えた昨年(2018年)6月末をもって87年という長い歴史に幕を降ろした。

かつてマカオのギャンブルの花形として栄えたドッグレースだが、近年はファンの高齢化、売上の減少、施設の老朽化が進み、さらには動物愛護団体から虐待だとする指摘を受けるなど、存続が厳しい状況が続いていた。コンセッション延長申請を行うも、政府から税収、ドッグレース場周辺エリアへの経済効果、海外からの旅客の誘致につながらないことなどを理由に否決され、終了が決まったという経緯がある。

なお、政府はコンセッション満期を迎えるにあたり、2年前から里親募集による引き取り先のメドをつけるなど、レース犬の妥当な処理をするよう再三に渡って運営会社に要請してきた。しかしながら、満期後に政府が施設を接収した時点で、犬舎に500匹を超えるレース犬が残されていた。

マカオ市政署(IAM)では、現地動物愛護団体の協力を得て、残されたレース犬の飼育とともに、昨年9月から里親の募集を続けてきた。IAMが3月26日に発表したプレスリリースによれば、全頭の引き取り先が決まり、同日最後の6頭がマカオを出発したとのこと。引き取り先は米国が307頭と最も多く、英国の70頭、イタリアの60頭、マカオの34頭、香港の26頭、フランスの23頭、ドイツの5頭などという。IAMでは、レース犬の飼育、引き取り先への搬送にかかる費用について、動物愛護法の規定に基づき、ドッグレース運営会社に負担させるとした。

最後のレース犬6頭がドッグレース場を出発した後、ドッグレース場の土地はマカオ政府財政局に引き渡された。ドッグレース場の跡地には学校などが建設される予定。

マカオドッグレース場に残された500頭以上のレース犬のうち、最後の6頭が引き取り先へ向け出発=2019年3月26日(写真:IAM)

マカオドッグレース場に残された500頭以上のレース犬のうち、最後の6頭が引き取り先へ向け出発=2019年3月26日(写真:IAM)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は6月30日、客との共謀による不正行為でカジノ運営企業からゲーミング(カジノ)チ…
  2.  マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は7月1日、今年(2025年)6月の月次カジノ売上(粗収益、…
  3.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は6月30日、今年(2025年)3〜5月期の雇用統計を公表…
  4.  中国では、東京電力福島第一原子力発電所からの「ALPS処理水」の海洋放出をきっかけに、2023年…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は6月26日、中国旅遊研究院が発表した「2024年中国ツーリストアウ…

ピックアップ記事

  1.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  2.  マカオ政府は6月9日午後5時からマカオ政府本部ビルで特別会見を行い、SJMリゾーツ社、メルコリゾ…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…
  4.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  5.  今年(2025年)に入って以降、マカオ政府が新交通システム「マカオLRT」の新路線計画を相次いで…

注目記事

  1.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…

イベントカレンダー

7月 2025
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31    
« 6月   8月 »
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年7月号
(vol.145)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun