マカオカジノ運営6陣営の19年上半期業績出揃う…純利益合計約3000億円

マカオ政府でギャンブル監理を担当する博彩監察協調局(DICJ)の資料によれば、今年上半期(2019年1〜6月)のカジノ売上は前年の同じ時期から0.5%減の1495億0300万マカオパタカ(日本円換算:約1兆9588億円)で、VIPルームによる売上を反映するVIPバカラ売上が14.5%減の718.24億マカオパタカ(約9410億円)、カジノ売上に占めるVIPの割合は7.9ポイント下落の48.0%にとどまった。業界内でVIPからマス(平場)シフトが進んだことを如実に表している。

マカオのカジノ施設は、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ6つの民間事業者によって運営されている。8月13日までに6陣営の今年上半期の業績発表が出揃った。増収増益、減収減益、減収増益とまちまちだったが、いずれも多額の黒字を計上しており、6陣営の純利益合計は日本円で約3000億円に上った。各陣営がプレス発表した今年上半期の業績ダイジェストは下記の通り。

マカオ半島を主な拠点とし、「リスボア」ブランドのカジノ施設を展開することで知られるSJMホールディングス社の純売上は0.7%減の170億7400万香港ドル(約2312億円)で、このうちカジノ売上は0.7%減の167億2000万香港ドル(約2264億円)。調整後EBITDAは6.1%増の20億7800万香港ドル(約281億円)、純利益は12.1%増の16億7900万香港ドル(約227億円)。カジノ売上について、マスが8.0%増だった一方、VIPは25.1%減だった。同社は現在、コタイ地区で大型IR(統合型リゾート)グランドリスボアパレスの開発を進めており、今年末までの完成予定で、完成後すぐにライセンス申請等を行い、速やかに営業を開始したいとしている。

マカオ半島で「スターワールド」、コタイ地区で「ギャラクシーマカオ」などの大型IRを展開するギャラクシーエンターテインメントグループ(GEG)社の純売上は6.6%減の262億1900万香港ドル(約3551億円)で、このうちカジノ売上は6.7%減の222億3400万香港ドル(約3011億円)。調整後EBITDAは3.8%減の83億1500万香港ドル(約1126億円)、純利益は7.3%減の66億8000万香港ドル(約905億円)。カジノ売上について、マスが7.8%増だった一方、VIPは24.8%減だった。こちらもVIPがふるわず、より利益率の高いマスに経営資源を集中させる施策で臨んだとのこと。現在、ギャラクシーマカオとスターワールドマカオについて、15億香港ドル(約203億円)を投じたリノベーションを実施中。ギャラクシーマカオの第3、4期拡張部の工事も並行して進めているとした。

マカオ半島で「サンズマカオ」、コタイ地区で「ヴェネチアンマカオ」、「サンズコタイセントラル」、「パリジャンマカオ」などの大型カジノIRを展開するサンズチャイナ社の純売上は4.8%増の44億6800万米ドル(約4747億円)で、このうちカジノ売上は6.0%増の35億8600万米ドル(約3810億円)。調整後EBITDAは5.6%増の16億2500万米ドル(約1726億円)、純利益は9.0%増の10億6700万米ドル(約1133億円)。

マカオ半島で「ウィンマカオ」、コタイ地区で「ウィンパレス」の大型IRを展開するウィンマカオ社の純売上は0.8%減の190億2870万香港ドル(約2575億円)で、このうちカジノ売上は1.0%減の163億4020万香港ドル(約2211億円)。調整後EBITDAは4.4%減の50億6144万香港ドル(約685億円)、純利益は7.1%減の28億1612万香港ドル(約381億円)。

マカオ半島で大型IR「MGMマカオ」、コタイ地区で「MGMコタイ」(18年2月開業)を展開するMGMチャイナホールディングス社の純売上は24.5%増の112億9663万香港ドル(約1530億円)で、このうちカジノ売上は24.0%増の101億5892万香港ドル(約1376億円)。調整後EBITDAは33.3%増の30億7680万香港ドル(約417億円)、純利益は45.1%増の10億2239万香港ドル(約138億円)。前年第1四半期に開業したMGMコタイ分が上乗せとなったかたち。

コタイ地区で大型IR「シティ・オブ・ドリームズ マカオ」及び「スタジオ・シティ マカオ」、タイパ島で「アルティラマカオ」、マカオ半島を中心に「モカ・クラブ」ブランドでスロット専門カジノを展開するメルコ・リゾーツ&エンターテインメント社の純売上は10.3%増の28億0469万米ドル(約2977億円)で、このうちカジノ売上は9.9%増の24億4229万米ドル(約2593億円)。調整後EBITDAは12.1%増の8億4895万米ドル(約901億円)、純利益は1.8%増の2億1766万米ドル(約231億円)。

[更新]
ウィンマカオ社の数値を2019年8月15日発表の香港ドルベースのものに修正しました。(2019年8月16日)

2019年第2四半期及び上半期業績発表記者会見に臨むGEG社の経営陣=2019年8月13日、コンラッド香港にて本紙撮影

2019年第2四半期及び上半期業績発表記者会見に臨むGEG社の経営陣=2019年8月13日、コンラッド香港にて本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は5月1日、今年(2025年)4月の月次カジノ売上(粗収益、…
  2.  4月30日、マカオ立法会と政府との間で2025年施政方針の運輸・工務領域における政策討論が行われ…
  3.  マカオにはコロアン島にハクサビーチ(黒沙海灘)とチョクワンビーチ(竹灣海灘)の2つのパブリックビ…
  4.  マカオでは、まもなく年間最大の書き入れ時となる「五・一」労働節ゴールデンウィークを迎える。マカオ…
  5.  マレーシアのMJets Air(Mジェットエア)が4月28日、同国のクアラルンプール国際空港とマ…

ピックアップ記事

  1.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  2.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  3.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  4.  4月30日、マカオ立法会と政府との間で2025年施政方針の運輸・工務領域における政策討論が行われ…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…

注目記事

  1.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  4.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  5.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…

イベントカレンダー

5月 2025
    1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
« 4月   6月 »
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年5月号
(vol.143)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun