マカオの19年4〜6月期実質GDP、前年比マイナス1.8%…2四半期連続マイナス

 マカオ政府統計調査局は8月23日、今年第2四半期(2019年4〜6月期)のマカオ特別行政区の域内総生産(GDP)を公表。

 今年第2四半期の実質GDPの成長率は前年比マイナス1.8%で、2四半期連続マイナスに。ただし第1四半期のマイナス3.2%からマイナス幅は縮小した。主なマイナス要因は固定資本形成総額の下落。外需の減速が続き、ゲーミングサービス輸出は0.8%減、貨物輸出についても24.4%減。固定資本形成総額が25.0%下落したことを受け、内需は6.1%下落。個人消費と政府最終消費はそれぞれ2.1%、4.1%の増で、景気後退の一部を相殺。貨物輸入とサービス輸入はそれぞれ0.8%、20.9%の減少。今年第2四半期の物価変動の程度を表す物価指数にあたるGDPデフレーターは前年比2.4%上昇。

 外部経済の先行き不透明感から、個人消費支出は依然として慎重。個人消費の増加幅は第1四半期と同水準の2.2%増。マカオ域内及び域外における世帯の最終消費支出はそれぞれ2.2%、4.0%上昇。

 政府最終消費支出は増加傾向を維持。増加率は今年第1四半期の4.1%から1.6ポイント拡大の5.7%に。このうち、職員報酬は2.3%増、購入商品及びサービスの純価値は12.4%の上昇だった。

 工事の減少を受け、固定資産投資の下落が続いた。今年第2四半期の固定資本形成総額は前年比実質25.0%の下落で、主に建築投資が30.1%減だったことによる。一方で、設備投資は9.1%増。前年同期には政府が多額の投資をした港珠澳大橋マカオ側イミグレーションが含まれておりベースの数値が高くなっていることもあり、公共工事投資が51.6%、設備投資が35.0%のそれぞれ大幅な減少。このほか、大型プロジェクトへの投資や新規住宅プロジェクトの着工も減少し、民間投資についても19.3%減。内訳をみると、建設投資は25.1%減、設備投資は17.4%の増。

 商品貿易も低調に推移。個人消費が慎重な状態が続き、投資が減少したことで、貨物輸入は0.8%の下落。外需の減速で、商品輸出も24.4%減。

 サービス貿易のパフォーマンスは安定。ゲーミング(カジノ)サービス輸出は0.8%の下落だったが、総体サービス輸出は0.8%上昇。一方、サービス輸出は13.7%減。

 今年上半期の実質GDP成長率は前年比マイナス2.5%。主要項目別では、個人消費と政府最終消費がそれぞれ2.2%、5.0%の上昇、投資が28.8%減、貨物輸出が12.5%下落、貨物輸入が0.6%上昇、サービス輸出が0.2%上昇で、このうちゲーミングサービス輸出は0.7%下落、サービス輸入は17.5%下落。

 マカオ政府経済財政庁長官事務所は第2四半期のGDP公表後に声明を発表し、外部経済の先行き不透明感が持続、増大する影響により、景気後退が下半期まで続くとの見通しを示した。また、景気後退によるマカオ社会、就業市場へ影響を注視しており、随時対応策講じるとともに、大型公共工事の推進も視野に入れているとのこと。一方、強固な財政余力を擁しており、対外収支についても安定していることから、民生に関わる歳出に影響が出ることはないという。マカオ特別行政区政府として、経済の適度な多元化を進め、危機対応力、景気後退時の抵抗力を高めていくとした。

マカオの町並み(資料)=マカオ半島・内港上空から空撮、2015年4月(写真:GCS)

マカオの町並み(資料)=マカオ半島・内港上空から空撮、2015年4月(写真:GCS)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  2.  マカオ治安警察局は7月26日、マカオ警察総局による指揮の下、マカオの良好な治安環境の保護・維持を…
  3.  ユネスコのアジア太平洋地域世界遺産研修研究所は7月23日、第46回国連大会が開催中のインド・ニュ…
  4.  マカオ司法警察局は7月25日、マカオで覚醒剤の密売したとしてタンザニア人旅客の20代の男を逮捕し…
  5.  マカオ治安警察局は7月25日、カジノ施設が集積するマカオ半島新口岸地区にあるスーパーマーケットで…

ピックアップ記事

  1.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  2.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  3.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年8月号
(vol.134)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun