「マカオ居民ギャンブル活動参加調査研究2019」結果公表…ギャンブル活動参加率と依存症有病率が過去最低に=10年に及ぶレスポンシブルゲーミングの取り組み奏功

 マカオは中国の特別行政区にあたり、人口約67万人、面積は東京の山手線の内側の半分に相当する32平方キロという小さな地域だが、およそ40軒ものカジノ施設が建ち並び、年間カジノ売上は世界最大規模を誇る。また、競馬やスポーツベッティングといった各種ギャンブルも存在する。昨年(2018年)通期のカジノ売上は約4.1兆円に上った。

 マカオ政府社会工作局(IAS)は10月18日、今年(2019年)5月18日から6月8日にかけて実施した「マカオ居民ギャンブル活動参加調査研究2019」の結果を公表。無作為抽出による電話調査で、18歳以上のマカオ居民(マカオ居留権保有者)が対象となる。今回の調査サンプル数は2003人だった。

 同リサーチはIASがマカオ大学コマーシャル・ゲーミング研究所に委託して三年に一度実施しているもので、IASでは、マカオ居民のギャンブル活動参加状況とギャンブルに対する見解を把握し、最新のギャンブル依存症有病率を評価すること、収集したデータをもとに、将来のギャンブル依存の予防及び治療サービス計画の策定に活かすことを実施目的として挙げている。

 マカオ居民のギャンブル活動参加率(過去1年以内に1回以上参加)は40.9%で、前回調査時(2016年)から10.6ポイントの大幅な下落となった。最も参加率が高かったのギャンブルは六合彩(日本のマーク6に相当)の36.9%。以下、社交ギャンブルの12.6%、マカオのカジノの9.4%、サッカーくじ及びバスケットボールくじの7.6%、スロットカジノの4.8%と続いた。前回調査との比較では、サッカーくじ及びバスケットボールくじが軽微な上昇だったが、その他4ジャンルは下落した。IASでは、サッカーくじ及びバスケットボールくじが軽微な上昇となった理由として、昨年サッカーW杯が開催されたことを挙げた。

 調査対象者2003人のうち、米国精神疾病診断・統計第5版(DSM-5)スケールに基づく測定によってギャンブル依存の可能性が存在した人の数は16人で、ギャンブル依存症有病率は前回調査から1.7ポイント下落の0.8%にとどまった。

 マカオ政府では、10年前の2009年から「レスポンシブルゲーミング(マカオにおいては政府及び運営事業者等によるギャンブル依存対策をはじめとする社会コストへの対応を意味する)」政策を推進してきた。マカオ居民のギャンブル活動参加率は2007年の59.2%から2019年には40.9%に下落。また、ギャンブル依存症有病率はピークだった2007年の6%から2019年には0.8%に下落し、いずれも過去最低だった。IASでは、マカオ社会が協力してレスポンシブルゲーミングに取り組んだことで一定の成果が現れたと評価。今後も民間社会サービス機構との緊密な連携、地域コミュニティにおける多元的な啓蒙活動、24時間対応の電話やインターネットによるギャンブル依存相談ホットライン、様々な人を対象としたギャンブル依存の予防と治療プログラム、小中学生向けのギャンブル予防教育、プロのギャンブル依存対策相談員育成プログラムの体系化といった施策を進め、ギャンブル依存症有病率の低下を図る考えを示した。

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

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