マカオ、建設中・設計段階のホテルが41軒、約1.1万室分…20年第1四半期=新型コロナ流行で業界は苦戦中

 近年、マカオでは新興埋立地のコタイ地区及びマカオ半島の沿岸地区を中心に大型カジノIR(統合型リゾート)、ホテルを含む複合ビル等の建設ラッシュが続いている。

 マカオ政府土地工務運輸局は4月29日、今年第1四半期(2020年1〜3月)時点で建設中のホテルが15軒、設計段階のものが26軒あり、供給客室数は前者が6775室分、後者が4452室分に上ることを明らかにした。昨年第4四半期と前年同時期との供給客室数の比較では、建設中のホテルが0.57%減と0.51%減、設計段階が1.92%増と7.39%減。(エリア別内訳は文末のデータ参照)

 マカオ政府統計調査局の資料によれば、今年3月末時点で営業中のホテル数は前年の同じ時期から5軒増の112軒、客室供給数は13.2%減の3.36万室となっている。減少分については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫措置によるインバウンド旅客減で一時休業中を余儀なくされたり、隔離検疫用として政府が一部のホテルを借り上げているため。通常とは異なる状況のため、参考のための比較とするが、今年3月末の数字に建設中及び設計段階の数を加えると、将来的にホテル数が約1.4倍の153軒、客室供給数が約1.3倍の4.48万室となる。

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリなどの国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られ、昨年の年間訪マカオ旅客数は過去最多の約3940万人に上った。

 マカオの昨年通期のホテル宿泊客数は前年から1.1%増の1410.4万人、平均客室稼働率は0.3ポイント下落の90.8%だった。近年、大型ホテルの開業が相次ぎ、客室供給数も右肩上がりに増えているが、需要も追いついており、平均客室稼働率は高位をキープしている状況だ。

 マカオでは、2月5日に新型コロナ防疫対策強化の一環として全カジノ施設が15日間の一時休業となって以降、IR(統合型リゾート)併設の高級リゾートホテルを含む29軒(3899室分)が一時休業に入った。その後、2月20日午前0時からカジノ施設の営業が再開したのを機に、ホテルも相次いで営業を再開した(一部は現在も休業)。また、新型コロナ流入防止策の一環として、外国からの入境・帰国者に対する隔離下における14日間の医学観察措置(隔離検疫)が講じられている。隔離検疫用ホテルは3月末から4月頭のピーク時に12軒、約4500室分に上ったが、水際対策強化と帰国ラッシュが落ち着いたことを受けて現時点では2軒となっている。

 なお、今年3月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用として政府が借り上げたホテルは含まず、以下同)は前年同月から67.6ポイント(pt)下落の23.2%、1〜3月累計では前年の同じ時期から50.5pt下落の41.4%。新型コロナ防疫措置が続く中、ホテル業界は苦戦を強いられている。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2018年2月ー本紙撮影

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2018年2月ー本紙撮影

【資料】
2020年第1四半期時点で建設または設計段階のホテルデータ(エリア別)
<マカオ半島>
・建設中:10軒 1194室
・設計段階:19軒 1099室
<タイパ島>
・建設中:なし
・設計段階:2軒 427室
<コタイ地区>
・建設中:4軒 5570室
・設計段階:4軒 2469室
<コロアン島>
・建設中:1軒 11室
・設計段階:1軒 457室

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