マカオ、14日連続で新型コロナ新規感染確認なし…輸入関連性に限ると103日連続=厳格な水際対策が奏功

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月10日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。新型コロナウイルス新規感染確認は14日連続ゼロだったとのこと。輸入関連性症例に限ると実に104日連続ゼロとなった。

 マカオにおける累計感染確認者は46人で、内訳は輸入性症例が44人、輸入関連性症例が2人。5月19日までに45人が治癒し退院済みで、現在入院中は6月26日に感染が確認された外国からの帰国者(帰国日は6月25日)の男性1人のみ。

 マカオでは無症状であっても検査で陽性であれば感染確認者と見なされ、指定医療機関に入院して治療を受けることになっている。入院期間は平均3〜4週間、退院後も再発症リスクを考慮して隔離施設(高頂公共衛生臨床センター)の陰圧病室で14日間の経過観察、その後も14日間の自宅待機を必須とする多重の安全措置が講じられている。また、マカオの新型コロナ指定医療機関(2施設)には陰圧病床が232床あり、人工呼吸器72台、人工心肺装置(ECMO)3台を擁し、設備、医療スタッフとも充足している。市中感染、院内感染例とも発生しておらず、死亡例もゼロ。

 同センターでは、現時点でコロナの封じ込めに成功している状況について、ボーダーをほぼ封鎖し、帰国者を一歩も市中へ出さずイミグレーション施設から直接隔離施設へ移送するなどの厳格な水際対策が奏功した結果とした。

 現時点での唯一の入院患者は、マカオ政府が在外マカオ人の帰国希望に応えるため、6月17日から7月16日までの期間限定で特別運航する香港国際空港とマカオを結ぶ高速船を利用してフィリピンからの帰国し、入境直後のウイルス核酸検査で陽性が確認された輸入性症例。帰国時に症状はなかったという。

 特別便の利用には事前登録が必要で、登録者数は記者会見時点で1752人に上り、すでに1345人が帰国したとのこと。帰国希望者の滞在先には新型コロナ高流行エリアも含まれることから、衛生局では前回の帰国ピーク時(3月下旬から4月頭、この際は香港国際空港から港珠澳大橋を経由する専用バスでの輸送)と同様、帰国者数の一定の割合で輸入例が確認されることもあり得るとしている。なお、流行状況が深刻な6ヶ国(インド、パキスタン、バングラデシュ、インドネシア、ブラジル)からの利用者について、6月26日に現地の信頼できる医療機関が発行した新型コロナウイルス陰性証明書の提示を必須化すると発表し、即適用された。なお、高速船の運航期間に関しては、8日の記者会見で当初予定通り7月16日で終了予定と明言された。

 マカオでは今年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられている。海外からの輸入症例を阻止するため、3月後半以降、水際対策が一層強化され、現在まで維持されている。市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう1月下旬にマスク有償配給制度の立ち上げ、毎年恒例で実施している市民への現金配布の前倒し実施や電子商品券の配布といった民生、経済支援対策も実施している。マスクの有償配給はこれまで17回にわたって実施され、7月11日から10日間にわたる第18回の販売がスタートする予定。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2020年7月10日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

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