マカオ、2020年12月のホテル客室稼働率が53.1%まで回復…前月から9.1pt上昇=通期では対前年62.2pt下落の28.6%

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオの年間訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は一昨年(2019年)には延べ(以下同)3940万6181人に上ったが、昨年(2020年)は対前年85.0%減の589万6848人にとどまった。1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限を含む厳格な水際措置が講じられらていることが主要因。ただし、マカオと中国本土における流行状況が落ち着いてきたことを受け、7月15日から両地の間で水際対策が一部緩和(新型コロナウイルス核酸検査の陰性証明書の提示などの条件付きで隔離検疫を免除)された上、中国広東省珠海市居民及び広東省居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の申請受付がそれぞれ8月12日、26日から再開、9月23日から中国本土全域に拡大した。これと並行してマカオと中国各地を結ぶ海路、空路の交通アクセスも元に戻りつつある状況。12月のインバウンド旅客数は前年同月から78.6%減の65万9407人だったが、前月から3.6%増。直近では8ヶ月連続で対前月プラスの復調傾向にある。

 マカオ政府統計調査局は1月28日、昨年12月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用ホテルの客室分は含まず、以下同)は53.1%で、前年同月から38.9ポイント(pt)の下落となった。一方、前月からは9.1ptの顕著な上昇。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から41.4pt下落の51.9%、4つ星が34.4pt下落の56.8%、3つ星が30.6pt下落の63.4%、2つ星ホテルが47.2pt下落の30.2%、ペンサオンが35.9pt下落の33.2%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が11.7%減、4つ星ホテルが8.8%減、3つ星ホテルが変動なし、2つ星ホテルが27.7%増、ペンサオンが変動なしだった点も考慮する必要がある。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

 昨年12月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から3軒減の120軒、供給客室数は8.2%減の3.51万室あり、このうち5つ星ホテルが3軒減の33軒で、供給客室数は全体の61.8%を占める2.17万室。

 昨年12月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から52.5%減の57.9万人。マカオと中国本土との往来制限緩和が進む中、中国本土旅客は前月から21.8%増となる49.2万人に。ただし、前年同月比では40.0%減。地元マカオ市民によるステイケーション利用が稼働率の下支えに寄与していることも明らかで、12月のマカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)の宿泊者数は前年同月から15.7%増の6.1万人に。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から0.1日延びて1.6日。

 昨年通期(1〜12月累計)のホテル客室稼働率は前年から62.2pt下落の28.6%、ホテル宿泊客数は72.5%減の387.4万人(中国本土旅客に限ると71.9%減の276.0万人、占有率71.2%)、ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.2日延びて1.7日。

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