マカオ、421日連続で新型コロナ市中感染例なし…累計患者数50人、死亡例ゼロ=ワクチン接種率は約13.7%にとどまる

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは5月24日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。同日までマカオの市中における新型コロナの感染確認は輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染伝播事案は出現していない。市中感染確認例は無症状感染者を含めて421日連続ゼロとなった。輸入性事案は7日連続ゼロ。

 これまでの累計感染確認者(患者)数は50人で、48人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを維持している。

 目下、入院患者数はゼロで、患者49人が治癒し退院済み。コロアン島にある公共衛生臨床センター(新型コロナ指定医療機関)において患者1人(5月16日に輸入性無症状再陽性として新規感染確認されたネパールからの入境者、D614G変異株)が治療を受けているほか、高リスク地域からの入境者9人が医学観察(隔離検疫)中。加えて、24日時点で1292人が政府指定ホテルで隔離検疫中。

 マカオでは、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び中国本土における状況が落ち着いてきたことを受け、昨年7月中旬から両地間の往来制限に関して緩和が進んでいる。外国人の入境禁止措置も継続中(3月16日からマカオで発給された中国ビザを利用して中国本土を訪れた場合の再入境は措置の対象外に)。中国本土との往来制限緩和後も市中感染は出現しておらず、各種防疫措置が機能しているといえる。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2021年5月24日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、3月9日からマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへ、4月9日からは海外労働やの家族、領事職員、就労ビザが切れたものの帰国できず滞在している人など上記以外の合法的常住者(過去6ヶ月内の過半をマカオに滞在した上で条件を満たした場合)へも拡大されている。現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(ドイツ製)の2種。

 24日午後4時までの累計ワクチン接種本数は15万1389本で、接種人数は9万5212人、2回目の接種を済ませた人は5万6568人。

 ワクチン接種後の異常については、累計で673件報告されており、めまいや微熱など軽微な事案が670件、重大な事案が3件。

 マカオ政府はシノファーム製、ビオンテック製に加え、英国アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)の計150万本を確保済み。アストラゼネカ製のワクチンについては、現状の接種の進行状況と2種のワクチンの在庫及び供給予定を鑑み、年内の供給を見合わせることを発表済み。

 なお、ワクチン接種はあくまで希望制であり、在庫がある状況下において複数のワクチンの中から自由に選択できるとされている。これまでのところ、シノファーム製が84%とのこと。接種費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3300円)となる。

 マカオ政府が確保したワクチンはいずれも2回接種が必要なものだが、マカオの総人口は約68万人のため、充足しているといえる。

 このほか、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう昨年1月下旬からスタートしたマスク有償配給制度について、5月27日から30回目のマスク販売期をスタートすることも発表された。第19回までが10日に一度だったが、第20回以降は30日間の実施となっており、30枚1組で24マカオパタカ(日本円換算:約320円)。1枚あたり単価は初回から変わっていない。初回から現在進行中の第29回までの累計販売枚数は約2億0300万枚に上るとのこと。

 マカオ政府衛生局の羅奕龍局長はこの日の会見で、現在も世界各地における新型コロナの流行は深刻な状況が続いており、台湾における再流行や広東省の広州と深セン、香港などで市中感染例が出現している状況も踏まえ、一旦マカオにおける状況が悪化した場合、日常生活や経済回復、中国本土との往来に甚大な影響が及ぶとし、市民に対して気を緩めずに防疫対策を維持してほしいと呼びかけた。また、マカオの新型コロナワクチン接種率は13.7%にとどまっており、免疫の壁を築く条件は未達成であり、域外との人の往来の正常化は不可能との認識を示し、速やかにワクチン接種を済ませるよう呼びかけた。

 マカオでは新型コロナ流行の封じ込めに成功している状況で、ワクチン接種率が伸び悩む理由は切迫性がないためとみられる。近日、マカオ政府は接種率向上に向けて、ワクチン2回接種を条件に防疫措置上の優遇策(大規模イベント等の参加者に対するPCR検査陰性証明提出の一部免除等)を発表したほか、事前予約なしの接種も受け付ける大規模接種ステーションの開設や、接種対応医療機関の拡充、大学や大企業等への出張接種展開などの策を講じている。

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