マカオ経済財政長官、通期カジノ売上見通し下方修正の可能性に言及…新型コロナの影響長期化

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行の長期化を受け、マカオでも域外からの流入を阻止する目的で厳格な水際措置が維持されている。

 水際措置によって訪マカオ外客数は低迷が続いており、インバウンド依存度の高い観光都市マカオの経済に甚大な影響が生じている。カジノ産業も例外ではない。

 昨年通期(2020年1〜12月)のカジノ売上(Gross Gaming Revenue=GGR)は前年から79.3%減の604.41億マカオパタカ(日本円換算:約8309億円)、今年(2021年)1〜8月累計では前年同時期から70.1%増の619.08億マカオパタカ(約8510億円)となっている。昨年第3四半期以降に中国本土との往来制限緩和が進んだことで、カジノ売上も増加に転じたが、旅客の戻りは緩やかで、新型コロナの影響が生じる以前の水準と比較して旅客数、カジノ売上ともほど遠い状況。マカオ政府は今年度予算における通期のカジノ売上予測を1300億マカオパタカ(約1兆7871億円)としているが、8月終了時点での達成率は47.6%にとどまっており、予算達成は厳しい状況だ。

 今年5月下旬にマカオと隣接する中国広東省、7月下旬には中国本土各地で新型コロナの再流行が出現。入境制限を含む各種水際措置が強化されたことによってインバウンド旅客減が6月、8月の売上を直撃したことで、予測が大きく下振れするかたちとなった。いずれの再流行も約1ヶ月で終息し、水際措置は従前の水準まで緩和されているものの、9月以降の4ヶ月間で巻き返しを図るのは難しい状況となっている。

 マカオ政府経済財政庁の李偉農(レイ・ワイノン)長官は9月8日、囲み取材に応じた際、8月のカジノ売上の状況を受けて、通期見通しを調整する必要があるとし、すでに試算に着手していることを明らかにした。

マカオ特別行政区の歳入に占めるカジノ税収の割合は大きく、カジノ売上の低迷に伴う税収が大幅減となる一方、新型コロナ防疫対策及び経済支援に対する歳出は増えており、2年連続で財政赤字となり、財政準備の超額積立分からの拠出で穴埋めがなされている状況だ。拠出額は2年間で約864億マカオパタカ(約1兆1875億円)。カジノ売上見通しが下方修正されれば、財政準備からの拠出も増える公算だ。

 ただし、マカオはコロナ前までに潤沢な財政準備を抱えており、昨年12月末時点のマカオ特別行政区の財政準備資産は前年同時期から6.3%増の6161.2億マカオパタカ(約8兆4683億円)となっている。内訳は、基本準備が1466.0億マカオパタカ(約2兆0149億円)、超額準備が4695.2億マカオパタカ(約6兆4531億円)。財政準備資産は同年の歳出(予算)の実に約6年分に相当する。

囲み取材に応じる李偉農マカオ経済財政長官=2021年9月8日(写真:GCS)

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