マカオ、2021年8月のホテル客室稼働率は38.4%…水際措置再強化で前月から25.3pt下落、年初来最低

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオの年間訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は一昨年(2019年)には延べ(以下同)3940万6181人に上ったが、昨年(2020年)は対前年85.0%減の589万6848人にとどまった。昨年1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限を含む厳格な水際措置が講じられていることが主要因。ただし、マカオと中国本土における流行状況が落ち着いてきたことを受け、昨年第4四半期以降は中国本土との往来制限の緩和が進み、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示などの条件付きで隔離検疫が免除となったことから、インバウンド旅客が回復傾向にある。しかしながら、今年5月下旬から6月下旬にかけてマカオと隣接する広東省で、7月下旬から直近にかけて中国本土の各地で再流行が出現し、後者は8月上旬にマカオへ波及。それぞれ約1ヶ月間で沈静化したが、マカオでは流入防止のため一時的に水際措置が強化されたため、インバウンド旅客数にマイナス影響が生じた。

 今年8月のインバウンド旅客数は前年同月から80.2%増、前月から48.2%減の40万9207人だった。対前月では2ヶ月ぶりのマイナス。

 マカオ政府統計調査局は9月29日、今年8月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用ホテルの客室分は含まず、以下同)は38.4%で、前年同月から25.1ポイント(pt)上昇、対前月では25.3pt下落となり2ヶ月ぶりのマイナスに。夏休みシーズンにあたり、旅客の戻りが期待されたが、年初来最低となった。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から21.4pt上昇の32.6%、4つ星が28.4pt上昇の45.2%、3つ星が32.8pt上昇の51.2%、2つ星ホテルが37.5pt上昇の51.2%、ペンサオン(ゲストハウス)が29.5pt上昇の42.1%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が0.3%減、4つ星ホテルが9.4%増、3つ星ホテルが5.4%増、2つ星ホテルが11.7%増、ペンサオンが10.2%増だった点も考慮する必要がある。

 今年8月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から1軒減の115軒、供給客室数は2.8%増の3.57万室あり、このうち5つ星ホテルが1軒減の33軒で、供給客室数は全体の61.3%を占める2.19万室。

 今年8月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から1.4倍増の43.5万人。中国本土旅客は5.7倍増となる30.0万人だった。地元のマカオ客は11.1%減の10.9万人で、ステイケーション需要とみられる。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から0.4日延びて1.8日。

 今年1〜8月累計の平均ホテル客室稼働率は前年同時期から27.0pt上昇の50.5%、ホテル宿泊者数は1.1倍増の450.9万人。ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.1日延びて1.8日。

 なお、9月下旬にもマカオで再び市中感染確認例(隔離検疫用ホテル内における伝播、輸入関連製事案)が出現し、水際措置の強化されている。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

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