マカオ、カジノVIPルーム運営大手サンシティの事業停止受け労働当局が相談窓口開設

 近日、マカオのカジノ業界が大きく揺れている。

 去る11月26日夜に中国温州市の公安当局からマカオの複数のカジノ施設にVIPルームを展開するカジノ仲介業大手、サンシティグループ(太陽城集団)の創業者で会長兼エグゼクティブダイレクターのアルビン・チャウ氏に逮捕状が出された。翌27日にはマカオ司法警察局がチャウ氏を含む同社幹部ら11人を違法賭博及びマネーロンダリングなどの疑いで逮捕、28日に検察院送致された。

 その後、マカオのカジノ運営会社がサンシティとの協力関係を相次いで解消し、11月30日までにサンシティが運営するVIPルームがすべて閉鎖するに至った。

 また、12月10日にはグループの一角で、VIPルーム運営を主とし、チャウ氏が全額出資するサンシティゲーミングプロモーション社(太陽城博彩中介一人有限公司)が同日付で事業停止する旨を従業員に通達したことも判明した。

サンシティグループ(資料)—本紙撮影

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ、カジノ監理機関)と労工事務局(DSAL)は12月12日、いわゆる「サンシティ事件」の同社従業員に与える影響について、会社側責任者と密に連絡を取り合いながら、状況の把握とフォローアップを行っていることを明らかにした。

 DSALによれば、近日本件に絡む問い合わせ及び支援を求める連絡が寄せられているとし、ローカル従業員の労働権益保護の一環として、13日から特別相談窓口を設置すると発表。同窓口にて労働権益に関する問い合わせ、求職登録の支援、職業訓練情報の提供などを行うとした。

 なお、サンシティ以外の同業者にも影響が及んでいるようだ。業界大手のタクチュングループ(徳晋集団)も複数のカジノ運営企業から協力関係解消を通知されことを理由に一部VIPルームをクローズし、雇用に影響が生じたことを明らかにしている。

 事件の行く末とともに、今後のカジノ売上及び労働市場への影響にも大きな注目が集まっている。

マカオ政府労工局のイメージ(写真:DSAL)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ歴史市街地区の中心に位置する新馬路に面して建つ「新中央ホテル(Hotel Central)…
  2.  マカオでは、「外僱」と呼ばれる海外(中国本土・香港・台湾を含む)からの労働者が多く就労しており、…
  3.  近年、マカオでは新興埋立地のコタイ地区及びマカオ半島の新口岸地区を中心に大型カジノIR(統合型リ…
  4.  マカオ政府統計・センサス局は4月29日、今年(2024年)3月の商品貿易統計を公表。  今…
  5.  バレーボールの国際大会「女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)2024」が(2024年)5…

ピックアップ記事

  1.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  4.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…

注目記事

  1.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  2.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  3.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun