マカオ、2022年1月のホテル客室稼働率は44.0%…対前年3.7pt上昇、対前月10.8pt下落

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオの年間訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)はコロナ直前の2019年には延べ(以下同)3940万6181人に上ったが、2020年は対前年85.0%減の589万6848人に急落。2021年は対前年30.7%増の770万5943人まで回復したものの、2019年比では8割超のマイナスで、依然として低迷が続いている。

 インバウンド旅客数が低迷する主要因として、2020年1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限を含む厳格な水際措置が講じられていることが挙げられる。ただし、マカオと中国本土における流行状況が落ち着いたことを受け、同年第4四半期以降は中国本土との往来制限の緩和が進み、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示などの条件付きで隔離検疫での相互往来が免除となったことから、昨年(2021年)5月にかけてインバウンド旅客の緩やかな回復が進んだ。しかしながら、中国本土では再流行が散発的に発生しており、状況に応じて「中リスク地域」指定が行われ、これに該当する地域からマカオへ入境する場合には、隔離検疫を必要とするなどの措置が講じられる。昨年8月以降はマカオでも市中感染確認例が相次ぎ、中国本土側でマカオからの入境者に対する隔離検疫を必要とする状況も生じた。

 今年(2022年)1月のインバウンド旅客数は前年同月から24.7%増、前月から15.4%減の69万4430人だった。対前月では3ヶ月ぶりのマイナスに。対前月のマイナス要因として、月内にマカオに隣接する広東省珠海市及びその北に位置する中山市でオミクロン変異株の市中感染確認例が相次いだことを受け、水際措置が引き締めとなったことが挙げられる。

 マカオ政府統計調査局は2月28日、今年1月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用ホテルの客室分は含まず、以下同)は44.0%で、前年同月から3.7ポイント(pt)上昇、前月から10.8pt下落だった。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から0.9pt上昇の40.1%、4つ星が5.4pt上昇の50.5%、3つ星が9.4pt上昇の52.9%、2つ星ホテルが17.3pt上昇の45.9%、エコノミー宿泊施設が41.4%(※2022年1月の法改正によりカテゴリー調整が生じたため比較対象なし)。なお、5つ星ホテルの供給客室数が14.0%増、4つ星ホテルが4.8%増、3つ星ホテルが横ばい、2つ星ホテルが22.3%増だった点も考慮する必要がある。

 今年1月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から1軒減の118軒、供給客室数は9.1%増の3.89万室あり、このうち5つ星ホテルが横ばいの34軒で、供給客室数は全体の62.5%を占める2.43万室。

 今年1月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から14.2%増の51.5万人。このうち中国本土からの旅客は10.8%増の41.8万人、さらにステイケーション需要とみられる地元のマカオ客が40.5%増の6.8万人おり、稼働率の下支え効果があった。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から0.1日延びて1.8日。

 参考までに、昨年通期(1〜12月)の平均ホテル客室稼働率は前年から21.4pt上昇の50.0%、ホテル宿泊者数は71.0%増の662.4万人だった。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

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