香港、新型コロナ新規感染確認数3万7529人…流行第5波開始以来の累計は約42.8万人に=3/5

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、医療システムのキャパシティが限界に達するなど、状況が深刻化。近日、市中における伝播はオミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)が主とされている。

 香港衛生当局の発表によれば、3月5日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は前日から1万4994人減(28.5%減)の3万7529人だったとのこと。前日まで3日連続で5万人台だったが、2日連続で減少、4日ぶりの3万人に。内訳は市中が3万7523人、輸入性(海外からの入境者)が6人。第5波開始以来の市中感染確認数の累計は約42.8万人となった。

 当局では、感染確認数が大幅下落したことについて、波があるため少なくとも一週間は様子を見る必要があるとしたほか、現在、PCR検査を経て陽性となったケースのみがカウントされており、仮にスピード抗原検査キットを使って陽性が判明した人を含めれば5万人を超えるだろうとし、依然として流行状況は深刻との見方を示した。

 なお、週内にもスピード検査の結果が陽性だった場合にオンラインで報告を行うプラットフォームが稼働予定とされていたが、前日の会見で遅延が生じていることが明らかにされたばかり。これが稼働した後、数字のさらなる増が予想される。

 公立病院における5日未明時点の直近24時間の感染者の死亡者数は150人(32〜105歳、うち131人が65歳以上)で、これとは別に前日分までの遅れて報告された死亡者が70人(40〜104歳)おり、第5波開始以来の累計死亡者数は1561人(11ヶ月〜108歳)に上った。

 前日までの死亡者1341人についての分析結果も明らかにされ、死亡率は0.36%、年齢中位数は85歳、18歳以下は6人で、うち4人が10歳以下。死亡率はワクチン未接種で1.25%に達し、2回接種済みの0.04%を大きく上回ったという。80歳以上に限ると、未接種の場合の死亡率は8.61%、2回接種済みでは1.57%。当局では、ワクチン接種は死亡リスク軽減に大きく作用するとし、特に子供と高齢者は速やかに接種するよう呼びかけた。

 第5波下、高齢者施設に関連する感染例が多く確認されており、これまでに感染例が出現した施設は780軒に上ったとのこと。

 2月以降の感染急拡大を受け、検査体制の逼迫、公立病院の隔離病床の不足が深刻化している状況で、感染確認または陽性となった人が自宅での待機を余儀なくされているケースも多い。目下、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設を進めているほか、各種防疫措置の強化、全市民を対象とした強制PCR検査の実施なども発表済み。

香港・九龍城区にある団地「徳朗邨」で実施された局地ロックダウンによる強制ウイルス検査の様子を視察する環境局長(右)=2022年3月5日(写真:news.gov.hk)

 香港の3月4日午後8時時点のワクチン接種率は89.9%(1回目の接種完了)、77.8%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は40.0%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したこと、ワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。4日単日の接種回数は8万2948回で、高位を維持。政府は免疫の壁を構築するための目標として接種率9割の達成を掲げており、ワクチンパスが2月24日から本格スタートした。

 香港で新型コロナワクチン接種プログラムがスタートしたのは、昨年2月26日のことで、丸1年が経過した。接種率50%を達成したのは8月5日で、70%が11月23日、80%が今年2月6日。数日以内に90%が達成される見通し。

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