香港、新型コロナ新規感染者数は2万7765人…第5波累計約74.8万人、死亡率は0.58%に上昇=3/15

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど、状況が深刻化している。目下、市中における伝播はオミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)が主とされている。

 香港衛生当局が3月15日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染者数は前日から857人増(3.2%増)の2万7765人だったとのこと。内訳は、PCR検査結果陽性が前日から84人減(0.7%減)の1万1956人、スピード抗原検査結果のオンライン陽性報告数が同941人増(6.3%増)の1万5809人で、第5波開始以来の累計感染者数は約74.8万人となった。

 公立病院における15日未明時点の直近24時間の感染者の死亡者数は228人で、これとは別に遅れて報告された死亡者が56人おり、第5波開始以来の累計死亡者数は4300人超、死亡率は0.58%に。このところ死亡率の上昇が続いている。ワクチン接種歴による死亡率については、2回以上接種済みの人が0.09%だったに対し、2回接種を済ませていない人は1.86%とのこと。

 第5波下、高齢者介護施設及び障がい者施設に関連する感染例が多く確認されている。これまでに感染例が出現した高齢者介護施設は施設総数の約9割にあたる757軒、障がい者施設については約8割にあたる271軒に上っている。

 2月以降の感染急拡大を受け、検査体制の逼迫、公立病院の隔離病床の不足が深刻化している状況で、感染確認または陽性となった人が自宅での待機を余儀なくされているケースも多い。目下、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設、医療支援チームの受け入れなどを進めているほか、各種防疫措置の強化、全市民を対象とした強制PCR検査の実施計画も発表済み。全市民対象の強制PCR検査に関しては、当初3月実施予定とアナウンスされたものの、現時点まで具体的な実施スケジュールは示されていない。

 香港の3月14日午後8時時点のワクチン接種率は91.1%(1回目の接種完了)、80.4%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は54.2%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。14日単日の接種回数(1〜3回目の接種合計)は7万0674回で、7日移動平均は7万1522回。年齢層別の接種率では、新たに接種対象となった3〜11歳のほか、70〜79歳と80歳以上が大きく平均を下回っており、接種率向上策が講じられている。

 このほか、香港大学医学部は3月15日、同月14日時点で香港の約358万人が新型コロナウイルスに感染済みで、市民の社会的接触レベルが現状の低水準を維持した場合、感染者数及び感染確認数は3月末には明らかに下落するとの試算結果を公表。これについて、15日夕方の衛生当局による記者会見で、当該数値は合理的なものであるとの見方が示された。

中国本土から深セン灣イミグレーションを経て香港に到着した医療支援隊に対する歓迎式典の様子=2022年3月14日(写真:news.gov.hk)

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