香港の新型コロナ新規感染者数237人、2日ぶり減…セントラル地区のバーでクラスター相次ぐ=5/29

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、このところは単日200〜300人程度を行き来しており、下げ止まっている。

 香港衛生当局が5月29日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から33人減の237人(輸入性37人含む)とのこと。第5波開始以来の累計感染者数は約119.9万人。新規の死亡報告数はゼロで、第5波開始以来の累計死亡者数は9163人。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。

 流行状況の安定を受けて、4月中旬から学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、クラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例があるほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染から市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1)の伝播につながったケースもあるが、これまでのところ目立ったリバウンドは出現していない。

 当局は29日夕方の会見で、直近1週間の学校からの陽性報告数は89校、104人(学生84人、教員20人)で、学校における感染状況は平穏な水準を維持したとの見方を示した。

 また、前日の会見で香港島セントラル地区にあるバー、Zentralでクラスターが発生し(5月21日午後11時から翌日未明にかけて同店に居合わせた11人)、患者の1人のバスケットボールコーチを通じて中学校にも波及したケースが公表されたばかりだが、同じくセントラル地区にある別のバー、The Iron Fairiesでクラスターが出現したことも明らかとなった。これまでに5月21日午後9時から翌3時にかけて同店に居合わせた11人の感染が確認されたとのこと。Zentralのケースについても、新たに4人の感染が明らかに(累計15人)。このうち1人は入店していなかったが、入店客との接触がったという。

 このほか、隔離検疫ホテル交差感染事案が市中へ波及したことを受けて、新たに香港到着から9日目のPCR検査を加えることも発表された。従来は12日目だったが、1週間の隔離検疫を終えて市中に出てからの空白期間が長いとの指摘もあり、9日目の検査が加わることで、早期発見につながると期待されている。

 5月28日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.0%(1回目の接種完了)、86.9%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。28日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は4万9112回で、7日移動平均は3万7514回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(73.5%)、70〜79歳(80.88%)、80歳以上(67.24%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は4月26日、今年第一四半期(2024年1〜3月期)の雇用…
  2.  マカオの公共路線バスで4月25日午前0時から中国本土版のアリペイ、香港版のアリペイ、マカオ以外の…
  3.  近日、マカオを含む中国華南の珠江デルタ地域では大雨が続いている。  マカオ政府海事・水務局…
  4.  マカオ貿易投資促進局(IPIM)は4月24日、マカオにおけるMICE誘致状況のアップデートを明ら…
  5.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…

ピックアップ記事

  1.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  4.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun