香港の新型コロナ新規感染者数275人、2日ぶり増…依然市中に伝播チェーン存在、しばらく同水準の感染確認数続く見通し=5/30

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、このところは単日200〜300人程度を行き来しており、下げ止まっている。

 香港衛生当局が5月30日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から38人増の275人(輸入性48人含む)とのこと。第5波開始以来の累計感染者数は約119万9700人。新規の死亡報告数は2人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9165人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。

 流行状況の安定を受けて、4月中旬から学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、クラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例があるほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染から市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1)の伝播につながったケースもあるが、これまでのところ目立ったリバウンドは出現していない。

 当局は30日夕方の会見で、直近数週間の流行状況は各種モニタリングデータを参照しても落ち着いているといえるが、市中における新規感染者数が毎日約200人おり、市中に依然として一定数の伝播チェーンが存在するとみられる中、今後もしばらくの間、同水準の感染確認数が続くとの見方を示した。また、新たな変異ウイルスの出現も否定できず、それがいつになるか予測できず、死亡及び重症化リスクを軽減するため、早めにワクチン接種を受けるよう市民に呼びかけた。

 昨日、一昨日と2日連続で香港島セントラル地区にある2軒のバーでクラスターが発生したことが公表されたが、2つのケースの累計感染者数は30日までに45人となった。30日の学校からの陽性報告数は34校の45人で、このうち6人が同じ学校だったという。

 5月29日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.0%(1回目の接種完了)、86.9%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。29日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は3万8208回で、7日移動平均は3万9130回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(73.59%)、70〜79歳(80.89%)、80歳以上(67.26%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港特別行政区のイメージ(資料)—本紙撮影

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