香港の新型コロナ新規感染者数が13日ぶり300人超に…6月中は対外防疫策維持=5/31

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、このところは単日200〜300人程度を行き来しており、下げ止まっている。

 香港衛生当局が5月31日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から54人増の329人(輸入性35人含む)とのこと。300人超となるのは13日ぶり。第5波開始以来の累計感染者数は約120万人。新規の死亡報告数はゼロで、第5波開始以来の累計死亡者数は9165人。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。

 流行状況の安定を受けて、4月中旬から学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、クラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例があるほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染から市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1)の伝播につながったケースもあるが、これまでのところ目立ったリバウンドは出現していない。

 近日、香港島セントラル地区にある2軒のバーで相次いでクラスターが発生。両ケースに関連する感染者が新たに14人報告され、累計感染者数は59人となった。なお、同時間帯に居合わせた人のうち100人以上が検査を受けておらず、当局が追跡を進めているという。31日の学校からの陽性報告数は24校の27人で、内訳は学生20人、教職員7人。

 当局は31日夕方の会見で、目下の流行状況は落ち着いているが、こう着状態といえ、今後も引き続き状況を観察していく必要があるとの見方を示した。このところ毎日200〜300人の感染確認があり、市中における集団感染、バーやレストランでのクラスターが発生しているものの、規模は想像したより大きなものではなく、市民の免疫力が一定水準にあると思われるとのこと。

 このほか、香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は31日午前の記者会見で、近日バーで相次ぎクラスターが発生したことを受け、6月下旬にソーシャルディスタンス措置の第三段階緩和を実施しない可能性に言及したが、当面のところ引き締めを行う考えもないとコメント。また、海外から香港へ到着した人に対する隔離検疫期間の短縮などの対外防疫策の見直しについては、6月末まで行わない考えを示した。林鄭長官の任期は6月末までとなっている。

 5月30日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.0%(1回目の接種完了)、87.0%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。30日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は5万9801回で、7日移動平均は4万2312回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(73.65%)、70〜79歳(80.94%)、80歳以上(67.36%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

記者会見に臨む香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官=2022年5月31日(写真:news.gov.hk)

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