香港の新型コロナ新規市中感染確認者数は1873人…当局は現状抑制可能なレベルだが緩やかな増加続くとの見通し=6/27

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、このところ目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が6月27日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から80人減の1719人。内訳はPCR検査経由が609人、迅速抗原検査経由が1110人。12日連続で1千人超となった。

 輸入性は36人増の154人。このうち70人が空港到着時、58人が指定ホテルでの隔離検疫中、26人が検疫期間を終えて市中に出た後の検査でそれぞれ発見に至ったもの。

 市中と輸入性の合計は前日から44人減の1873人、1千人超となるのは13日連続。第5波開始以来の累計感染確認数は約122.7万人。

 新規の死亡報告数は4日連続ゼロで、第5波開始以来の累計死亡者数は9185人。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が3ケタに達したほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロン変異株派生型(BA2.12.1など)の伝播につながったケースなどもある。23日に認知された新界・屯門地区のチェルシーハイツ内にある中国料理店「海港酒家(ビクトリアハーバーレストラン)」でクラスターについて、27日新たに5人の感染が明らかとなり、累計は41人に。当局の調査によって、同店の換気が基準以下だったことが発覚したという。

 27日の学校からの陽性報告数は335校の464人(週末分含む)で、うち7校で学級を跨ぐ伝播が発生したとのこと。このところ対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況が続く。学校のみならず、近日は高齢者介護施設からの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも出現している。

 当局は27日夕方の会見で、現状は抑制可能なレベルにあるが、今後も新規感染確認数の緩やかな増加が見込まれるとの見通しを示した。政府は27日、まもなく期限を迎える現行のソーシャルディスタンス措置について、14日間(7月13日まで)延長することも明らかにした。

 6月26日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.6%(1回目の接種完了)、88.5%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。26日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万5381回で、7日移動平均は1万5556回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(75.7%)、70〜79歳(81.75%)、80歳以上(69.04%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

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