オミクロンBA.5流行のマカオ、新規陽性者数が4日ぶり増…単日18人、一般市中からは5人=6/18以来の累計1783人

 人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、ここまで約1ヶ月にわたって陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)

 6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入し(感染源不明)、伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとっては大きな脅威だ。政府は高頻度の全市民対象PCR検査や”社会相対静止”といった厳格な防疫措置を講じ、ゼロコロナ目標の達成を目指している。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月20日午前、6・18アウトブレイクに関する最新情報を発表した。

 7月20日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は18人。4日ぶりに増加となり、ピーク(7月9日の149人)後の最少記録更新が途絶えた。18人のうち隔離対象(局地ロックダウン対象ゾーン内及び隔離検疫ホテル)から発見に至ったのが前日比6人増の13人、一般市中からが同2人増の5人(濃厚接触者2人、全市民PCR検査及び重点検査対象2人、その他1人)とのこと。12日連続で隔離対象から発見に至ったケースが過半数を占め、一般市中からの陽性者数は4日連続で1桁を維持した。

 6月18日以降の累計陽性者は1783人に

 20日午前8時までに疫学調査の対象(隔離)とされた人の数は2万2100人に上った。内訳は陽性者1783人のほか、濃厚接触者が3505人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が1万1869人、二次濃厚接触者が1316人、一般接触者が254人、付き添い人が780人。

 マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが高頻度で実施されている。7月10〜23日にかけては高頻度の全市民PCR検査が実施されており(2日毎受検、6月19日以降で7〜13回目)、期間中は毎日の迅速抗原検査のセルフ実施も求められる。現在、12回目の検査が実施中(20日午前8時〜21日午後7時)。19日午後7時に終了した11回目の検査は66万6849人が受検し、陽性反応が検出された混合検体(10人分で1本)は2本だったとのこと。2週前の第4回以降、回を重ねるごとに混合検体の陽性反応検出数は減少傾向にある。具体的には第4回が94本、第5回が41本、第6回が23本、第7回が17本、第8回が13本、第9回が9本、第10回が5本。

 目下、陽性者が出現した場所(ビル及び店舗単位)に対する局地ロックダウンや各種人流抑制策などが講じられているが、追加の特別措置として7月11日午前0時から”社会相対静止”状態に入った。期間中、社会運営及び市民の生活維持に必要とされる(インフラ、燃料、食料、薬局など)以外の企業・事業場所の運営は停止が求められる。カジノも閉鎖に。また、ステイホームを基本とし、外出は全市民PCR検査受検や業務上必要な場合、生活物資の購入、緊急要件に限るとされ、成人はKN95規格以上のマスクを着用することが求められる。本措置は当初7日間とされたが、5日間延長となり、23日午前0時までの実施に。なお、特別措置の各種規定への違反行為は刑事罰の対象とされる。

 マカオ当局は「ゼロコロナ期」として一般市中における感染例ゼロを目指した取り組みを進めており、23日にもゼロコロナをより確実なものとする最終段階となる「コンソリデーション期」へ移行するとの見通しを示しているが、依然として一般市中からの陽性者が複数出現する状況にあり、今後の展開は読みづらい。

局地ロックダウンの対象となった集合住宅における大規模清掃・消毒作業の様子(写真:IAM)

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