マカオ、2022年9月のカジノ売上は対前年49.6%減の約530億円…2ヶ月連続回復、1〜9月累計53.1%減

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は10月1日、今年(2022年)9月のマカオの月次カジノ売上(粗収益、Gross Gaming Revenue=GGR)について、前年同月から49.6%減、前月から35.3%増の29.62億パタカ(日本円換算:約530億円)だったとする最新統計を公表。

 前年同月比では7ヶ月連続のマイナス、対前月では2ヶ月連続プラス。コロナ前の2019年同月からは86.06%減。

 すでに中国本土とマカオの間では条件付きで隔離検疫免除での相互往来が再開されているが、今年に入って以降、中国各地で再流行が深刻化したことを受けて水際措置の強化や移動制限が講じられるなどした結果、マカオにおける中国本土からのインバウンド旅客数が低迷し、カジノ売上に影響が及んでいるとされる。

 マカオ域内では今年6月中旬まで約8ヶ月にわたってゼロコロナ状況を維持していたが、6月18日から市中でオミクロンBA.5のアウトブレイクが発生したことを受け、中国本土との間の水際措置が大幅に引き上げられると同時に、域内でも極めて厳格な防疫措置が講じられた。中でも、7月11日から12日間は特別防疫措置として「社会相対静止」が実施され、カジノ施設を含む経済活動の大半がストップ。これと前後して、一部カジノ施設が局地ロックダウンの対象となる例もあった。8月初旬までにアウトブレイクは落ち着き、防疫措置についてもほぼ6月18日以前の水準に復帰したが、本格的に旅客が戻る状況には至っていない。

 9月の営業日は30日間で、8月より1日少ない。今年9月の1営業日あたりの平均売上は前月から約39%増の0.99億パタカ(約17.7億円)。新型コロナの影響が生じて以降では、今年7月の0.13億パタカ(約2.3億円)及び2020年第2四半期の0.23億〜0.56億パタカ(約4.1億〜10.0億円)が底。

 今年1〜9月累計のカジノ売上は前年同時期から53.1%減の318.19億パタカ(約5694億円)。変動率は前月時点から0.3ポイント縮小(良化)。

 マカオ政府の2022年度財政予算における当初カジノ売上見込みは1300億パタカ(約2兆3262億円)で、9月終了時点の進捗率は24.5%。なお、前年も同額の見込みだったが、大幅未達(66.8%)だった。

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

【資料1】2022年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:63.44億パタカ=約1135億円(20.9%減)
・2月:77.59億パタカ=約1388億円(6.1%増)
・3月:36.72億パタカ=約657億円(55.8%減)
・4月:26.77億パタカ=約479億円(68.1%減)
・5月:33.41億パタカ=約598億円(68.0%減)
・6月:24.77億パタカ=約443億円(62.1%減)
・7月:3.98億パタカ=約71億円(95.3%減)
・8月:21.89億パタカ=約392億円(50.7%減)
・9月:29.62億パタカ=約530億円(49.6%減)
>1〜9月累計:318.19億パタカ=約5694億円(53.1%減)

【資料2】2013年〜2021年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億パタカ=約6兆4451億円(18.6%増)*ピーク時
・2014年:3515.21億パタカ=約6兆2900億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億パタカ=約4兆1306億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億パタカ=約3兆9940億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億パタカ=約4兆7551億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億パタカ=約5兆4190億円(14.0%増)
・2019年:2924.55億パタカ=約5兆2331億円(3.4%減)
・2020年:604.41億パタカ=約1兆0815億円(79.3%減)
・2021年:868.63億パタカ=約1兆5543億円(43.7%増)

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