マカオの2021年ホテル業調査結果公表…一部改善もコロナ前水準にはほど遠く

 マカオでは、2020年1月下旬以降、新型コロナ防疫対策の一環として厳格な水際措置が講じられ、中国本土に倣って現在に至るまでゼロコロナ政策が堅持される中、インバウンド旅客の低迷が続き、ツーリズム関連業界は大打撃を受けている。

 マカオ政府統計調査局は10月28日、昨年(2021年)のホテル業調査結果を公表。昨年のマカオの宿泊施設数(ホテル及び簡易宿泊施設)は前年から4軒増の131軒、従業員数は2846人減の4万0141人だった。2020年第3四半期から中国本土との間で条件付きで隔離検疫免除の相互往来が再開したことでインバウンド旅客数が回復に転じ、ホテル業界全体としての運営状況は前年から一部改善が見受けられた。業界の収入は前年から48.2%増の193.2億パタカ(日本円換算:約3522億円)に。ただし、コロナ前2019年からは依然として49.5%減。支出は前年比1.7%増の227.6億パタカ(約4149億円)。前年に続いて支出が収入を上回る状況で、34.6億パタカ(約631億円)の赤字となったが、前年からは59.5億パタカ(約1085億円)の大幅改善。業界の経済貢献を示す付加価値総額は2.3倍増の72.5億パタカ(約1322億円)、総固定資本形成は新ホテルの開業があったものの、前年に大規模修繕工事があったことにより7.8%減の93.2億パタカ(約1699億円)に。

 宿泊施設のうち、ホテルの数は前年から2軒増の90軒、従業員数は2858人減の3万9864人。収入は48.4%増の192.8億パタカ(約3514億円)。内訳はベニュー貸出料が72.0億パタカ(約1312億円)、客室宿泊料・サービスが62.3億パタカ(約1136億円)、料飲サービス収入が39.2億パタカ(約715億円)で、それぞれ67.4%、54.3%、38.7%の増。支出については、1.8%増の227.0億パタカ(約4138億円)。内訳は営業費用が8.1%増の101.3億パタカ(約1847億円)、購買・コミッション支出が38.9%増の18.9億パタカ(約345億円)、人件費が7.8%減の106.9億パタカ(約1949億円)。

 5つ星ホテルに限ると、収入は51.4%増の151.9億パタカ(約2769億円)、4つ星は24.3億パタカ(約443億円)、3つ星は16.1億パタカ(約293億円)で、57.1%、18.0%のそれぞれ増。支出は5つ星が1.3%増の180.5億パタカ(約3290億円)、4つ星が8.0%増の28.7億パタカ(約523億円)、3つ星が4.7%減の16.4億パタカ(約299億円)。各等級とも赤字となり、赤字が最も大きかった5つ星では28.4億パタカ(約518億円)となった。

 簡易宿泊施設の数は前年から2軒増の41軒。従業員数は12人減の277人。収入は12.5%減の3672万パタカ(約6.7億円)、支出は5.3%減の6464万パタカ(約11.8億円)で、2811万パタカ(約5.1億円)の赤字に。

 新型コロナの影響は長期化しており、今年に入って以降もツーリズム関連業界は苦戦を強いられる状況が続く。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

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