中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年（2022年）に入って以降はオミクロン変異株の流入を受け、上海や北京といった主要都市を含む一部地域で比較的大規模な再流行が発生した。

　中国の国家衛生健康委員会（NHC）が11月12日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月11日の中国本土における新規市中感染確認者数は1452人（前日から302人増）だったとのこと。内訳は広東省760人、重慶市160人、河南省107人、内モンゴル自治区88人、山西省75人、北京市68人、四川省49人、新疆ウイグル自治区25人、浙江省22人、陝西省14人、安徽省13人、黒竜江省9人、雲南省9人、山東省8人、青海省8人、遼寧省7人、江蘇省7人、湖南省5人、天津市4人、福建省4人、貴州省4人、甘粛省3人、湖北省1人、広西チワン族自治区1人、チベット自治区1人。このうち広東省の437人、四川省の10人、浙江省の7人、陝西省の6人、甘粛省の3人、北京市の2人、山西省の2人、貴州省の2人、雲南省の2人、青海省の2人、内モンゴル自治区の1人、黒竜江省の1人、江蘇省の1人、福建省の1人、河南省の1人、湖南省の1人、重慶市の1人の計480人が無症状から感染確認へ転じた事案。

　市中の無症状感染例は1万0351人（前日から966人増）。内訳は広東省2996人、河南省2057人、内モンゴル自治区1190人、重慶市1081人、新疆ウイグル自治区693人、甘粛省368人、青海省354人、河北省327人、黒竜江省245人、山西省172人、山東省139人、安徽省118人、四川省103人、湖北省99人、雲南省73人、湖南省54人、天津市53人、北京市48人、浙江省32人、福建省25人、遼寧省22人、陝西省18人、江蘇省17人、広西チワン族自治区13人、貴州省12人、江西省11人、上海市9人、チベット自治区9人、寧夏回族自治区9人、吉林省3人、海南省1人。

　無症状を含む新規感染者数は1万1803人で、7日連続増。また、2日連続1万人超えとなり、上海市での大規模なロックダウンをはじめ、各地で目立った再流行が出現していた半年前と同水準。

　11月11日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は1万0919人（うち輸入性が532人）で、重症者は24人（輸入性ゼロ）。無症状の患者6万8842人（輸入性1127人）が医学観察下にあるとのこと。

　11月11日に新規感染例の報告があった省市区の数は全31のうち31で、前日と同数。このうち広東省（3756人）、河南省（2164人）、内モンゴル自治区（1278人）、重慶市（1241人）の4省区が4桁に上ったほか、新疆ウイグル自治区（718人）、甘粛省（371人）、青海省（362人）、河北省（327人）、黒竜江省（254人）、山西省（247人）、四川省（152人）、山東省（147人）、安徽省（131人）、北京市（116人）、湖北省（100人）の11省市区が3桁に。依然として多くの省市区で患者が出現する状況が続く。

　香港・マカオに隣接する広東省では、しばらく落ち着いた状況が続いた後、8月初旬以降は連日複数の感染例が出現。10月下旬から急増している。11日の新規感染者数は前日から749人増の3756人で、9割超が広州市からの報告例。市衛生当局によれば、直近の流行はオミクロンBA.5.2によるもので、潜伏期間がより短く、感染力がより強い特徴があり、より早く感染者を発見することで、最短時間で流行を抑制する措置を講じていくとした。目下、感染例が集中しているのが海珠区をはじめ、市内の広い範囲で移動制限を含む厳格な防疫措置が講じられており、市民生活にも大きな影響が及んでいるという。

　このほか、近日感染が拡大している河南省については、大半が鄭州市からの報告例。オミクロンBF.7が流行しているとされる北京市でも2日連続3桁となり、隔離対象ではない一般市中から発見に至るケースが12人に上ったとのこと。

　中国本土の状況は総じて落ち着いている一方で、香港では昨年末から流行第5波が続いており、直近の単日新規感染者数は5千人前後で推移。9月26日からは入境時の義務的隔離検疫も不要となり、事実上ウィズコロナに転換したといえる。マカオについては長期にわたって市中感染確認数ゼロの落ち着いた状態を維持。こちらは中国本土に倣ってゼロコロナ政策を堅持する方針を示している。なお、マカオ市中では10月26日以降、相次いで珠海市から流入した輸入性あるいは輸入関連性の陽性者が出現したが、11月5日までに安全が確認されたとして従前の常態防疫体制に戻った。

中国広東省広州市内にある高層ビル（資料）—本紙撮影