ウィズコロナ急転換のマカオ、すでに人口の2割前後が感染か…1月中旬に終息見通しも

 マカオでは、12月初旬から事実上のウィズコロナに急転換となり、各種防疫措置の緩和が一気に進んだ。

 政府は12月8日の会見で、各種防疫措置の緩和によって短期内に人口の5〜8割が感染するとの予測を示したが、検査体制の変化などから無症状感染者数の把握が困難として12月中旬から従来方式での感染者数の発表を取りやめており、市中における実際の感染状況が掴みにくい状況となっている。

 前週以降、記者の周囲でも感染したという話や人手不足による休業のお知らせを見聞きすることが多くなり、市街地の人出も明らかに少なくなるなど、感染拡大の状況がうかがえる。万全の防護で対策をしていたつもりだった記者も、ついにクリスマスイブに感染するに至った。幸いにも無症状のため、こうして記事を書くことができているが、友人知人の感染者の症状の軽重はさまざま。マカオの人口は約68万人だが、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超で世界最高水準という地理的特徴があり、未感染の人の間では遅かれ早かれ感染不可避との諦めムードも漂い、覚悟を決めたと話す人も多い。

 気がかりなのは、やはり実際の感染状況だろう。公式データが出ない中、推測に頼るしかない。12月25日、香港の有線電視ニュースがマカオの感染状況について、公衆衛生学者で香港中文大学公衆衛生学部助教の郭健安氏のコメントを引用するかたちで報じた。

 報道によれば、郭氏が12月第1、2週のマカオ政府発表数(※この時点では実数発表)を分析したところ、感染者数は1〜2日で倍増となっており、実効再生産数6〜10、即ち1人の感染者が6〜10人に伝播させる状況で、これをベースに計算した結果、12月24日までに累計12〜16万人、人口の17〜23%が感染したと推測されるとのこと。また、今後の見通しについては、12月27日または28日にピークを迎え、単日の感染者数は約8万人に上るが、実効再生産数が非常に高いことから、かなりの速さで人口の大部分が感染し、1月中旬には單日の感染者数は2、3桁まで下落し、感染者とワクチン接種者合わせて人口の8〜9割が混合免疫を有する状況になるとした。

 香港で2022年初頭に出現した流行第5波との比較については、香港における第5波以前のワクチン接種率が2回接種64%、3回以上接種5%だったのに対し、現状のマカオでは2回接種93%、3回以上接種54%であることを挙げ、重症化及び入院率は香港より低くなるとの予測を示している。

 マカオ特別行政区の賀一誠(ホー・ヤッシン)行政長官が12月25日に市内の医療機関を視察に訪れた際に公立仁伯爵綜合医院(通称:山頂医院)の院長が語ったところでは、すでに3割超のスタッフが感染しており、定年退職者や実習生を招集しているほか、回復途上にあるスタッフが出勤して感染者や隔離病室を担当しているという。マカオ政府が23日に明らかにした政府モデル試算では全人口の6分の1、医療従事者に限ると4分の1が感染としており、山頂医院院長のコメントも踏まえれば、上述の郭氏の推計も十分説得力があるといえるだろう。

 賀長官は12月20日の返還記念日レセプションでのスピーチで、政府として重症化及び死亡率の低減を図るための施策を重点的に講じていると述べている。

山頂医院を視察に訪れたマカオ特別行政区の賀一誠行政長官ら=2022年12月25日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

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