マカオ、実名登録済み交通ICカードのみ運賃割引対象とする措置を終了…ウィズコロナ移行で接触者追跡の必要なくなる

 マカオでは、交通系ICカード「マカオパス(澳門通)」が広く普及している。公共路線バスやLRT(新交通システム)のみならず、コンビニ、スーパー、飲食店、自販機など利用範囲の拡大も続く。

 マカオパスを利用する最も大きなメリットのひとつとして、公共路線バスの運賃割引が挙げられる。公共路線バスの運賃は現金支払いの場合、一律6マカオパタカ(日本円換算:約100円)だが、マカオパスを利用して支払うことで、一般路線が半額、快速路線が約33%引きとなる。また、最初のバス乗車時に支払いをしてから45分以内(コロアン島とマカオ半島の間の場合は60分以内)に次のバスに乗り継ぐ際には、乗り継ぎ先のバスが一般路線なら無料、快速路線の場合は差額分のみの支払いとなる。

 ただし、2021年12月11日以降、バス運賃割引の対象が実名登録済みのカードのみとされる措置が講じられた。背景として、新型コロナウイルス感染症防疫対策が挙げられる。

 同年9月末から10月頭にかけて、タイパ島にある新型コロナ隔離検疫ホテルに勤務する複数の警備員とマカオ半島にある内装工事現場に出入りする複数人という2つのクラスターが出現。疫学調査の結果、2つのグループのうち1人ずつが同じ路線バスの近い位置で14分間乗り合わせ、同じ手すりを掴んでいたことで感染したことが判明した。この際、追跡調査を実施するにあたり、無記名のマカオパスを利用していた乗客の把握が困難だったことから、実名登録制導入機運が高まるきっかけとなった。

 マカオ政府交通事務局は1月16日、バス運賃割引の対象が実名登録済みのカードのみとする措置について、2月10日に終了すると発表。これまでに59万枚超の登録があったとした上、今年(2023年)5月10日に本措置に関連する個人情報を削除することも明らかにした。

 終了の理由について、防疫措置が新たなステージに入り(註:今年1月8日にウィズコロナ政策へ完全移行)、当初の導入目的だった接触者の追跡の必要なくなったことを挙げた。約1ヶ月のタイムラグが生じるのは、システム改修やテストなどに時間を要するためと説明。2月11日からは実名登録の有無に関わらず、マカオパスを利用した場合に運賃割引が受けられる元のスタイルに戻る。

マカオの公共路線バスの料金箱とICカード読取機(資料)=2019年10月本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府衛生局は10月23日夜、マカオ域内で今年初めてとなる当地デング熱感染例を確認したと発表…
  2.  マカオ政府衛生局(SSM)は10月23日夜、マカオで今年(2024年)8例目となる在郷軍人病(退…
  3.  マカオ司法警察局は10月22日、マカオに所在する複数の質店を訪れ、人工ダイヤモンドを天然と偽って…
  4.  マカオの多くのカジノ施設が航空会社のマイレージ制度と似た会員プログラムを提供しており、入会するこ…
  5.  このほどマカオ国際空港運営会社にあたる澳門國際機場專營股份有限公司(CAM)が公表した資料によれ…

ピックアップ記事

  1.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  4.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…

注目記事

  1.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  5.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年11月号
(vol.137)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun