マカオから中国本土へ自家用車使い中古バッテリーや未検疫食材の密輸企図した運び屋の摘発相次ぐ

 マカオ税関(マカオ税関)は8月29日、同月22日から28日の期間、マカオと広東省との陸路の玄関口となる複数のイミグレーション施設(關閘、港珠澳大橋、横琴)にある自家用車用出境ゲートの税関検査場で自家用車を使った違法な運搬活動(いわゆる運び屋行為)を7件摘発したと発表。

 期間中の税関検査で発見に至った密輸品の内訳は中古バッテリー1500点、未検疫食材(冷凍肉など)940.35キログラムとのこと。

 税関のリスク管理システムの予備警戒アラートや事前に得ていた情報などに調査対象とする自家用車を選定したといい、いずれも運転手は最初の聞き取り調査時に税関職員へ申告物なしと告げたが、その後の車両に対する詳細検査で車内から輸出にあたり申告や検疫を要する物品が発見され、有効な書類を提示できなかったという。トランク部に隠したり、黒いビニール袋で覆うなどの偽装工作が認められたケースもあったとした。

 7件に関与した運転手7人ともマカオ人(33〜64歳)で、税関では全員を対外貿易法違反=最大10万パタカ(約180万円)の罰金=で起訴するとした。

密輸に使われた自家用車内に隠されていた中古バッテリー(写真:澳門海關)

 年初のウィズコロナ転換による水際措置の緩和を受けて、マカオと中国本土、香港との相互往来が容易になって以降、運び屋が絡む密輸入、密輸出事案が摘発されるケースが増えており、密輸品の種別では中古スマートフォン、中古バッテリー、パソコン用のパーツなどが目立つ。

 目下、マカオ警察総局による指揮の下、各保安部門が地域社会の良好な治安環境の維持と保護を目的とした大規模取り締まり作戦「落雷2023」を展開する中、税関でも運び屋行為及び、来歴不明の食材のマカオ流入に対する警戒を強化して臨んでいるとした上、中古バッテリーは保管状態により自然発火を起こし火災につながる可能性もあり、これを密輸することはイミグレーション施設の安全上のリスクにもなるとし、市民に対して物品の出入りに関する法令の遵守、また運び屋行為に関与して報酬を得ることなどないよう重ねて呼びかけを行った。

 近年、マカオ登録の自家用車が比較的簡単な手続きで広東省に乗り入れ可能となる政策が導入されたことを受け、マカオと中国本土との間の自家用車での往来が増えている。

密輸に使われた自家用車内に隠されていた冷凍肉(写真:澳門海關)

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