マカオで小切手悪用した巨額カジノチップ詐欺事件―被害総額約6億円

マカオ司法警察局は8月15日、小切手決済の空白期間を悪用し、カジノや仲介人から4,600万香港ドル(日本円換算:約6億円)もの巨額のゲーミングチップを詐取したとして、中国本土と香港出身者から成るクロスボーダー犯罪グループのメンバーのうち、香港人の男1人を逮捕、送検したと発表した。

8月16日付地元有力紙「澳門日報」が報じた。司法警察局ゲーミング犯罪調査部によると、今年(2014年)4月から7月にかけて、マカオの2つのカジノと5人の沓碼と呼ばれるカジノチップ仲介人から、無効の小切手を使ってカジノチップを騙し取られたとの通報が相次いだという。

香港やマカオでは小切手による決済が日常的に行われている。小切手を受け取った後、受領者の銀行口座に入金すると、小切手の額面がすぐに元帳の残高に反映され、ネットバンキングなどで確認することもできる。しかし、実際に換金され、入金されるまでの間は同銀行間で早くて当日、別の銀行の場合は翌日以降となるなど一定の時間がかかり、その間は元帳には数字として記録されるが、実際に引き出し可能な残高とはみなされない。

今回の事案では、金曜日に小切手の振り出しを行うことで、一旦当日のうちに元帳に数字を残すことで相手を信用させ、銀行の休日となる土日を挟んで時間稼ぎを行う手法がとられた。月曜日に銀行側が振り出し元との付け合わせを行う際に、残高不足で換金不可ということが判明するが、すでにカジノチップが犯罪者の手元にあり、取り戻すことができない。

当局の調べによると、犯行グループらは上記の手法で合計4,600万香港ドルものカジノチップを詐取し、賭博を通じて利益を得たり、チップを現金化するなどしていたという。

犯行グループのメンバーのうち、すでに中国本土出身者の男1名、香港出身の男1名が今年6月に逮捕され、現在コロアン島の刑務所に収監されている。今回逮捕された男についても、捜査線上に名前が挙がっており、關閘ボーダーゲートからマカオへ入境したところを逮捕したもの。

当局では犯行グループメンバーが少なくとも十数名に上るとみており、逃走中のメンバーの行方を追っているという。

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

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