富裕層顧客減でカジノVIPルームの統廃合進む見通し—マカオ

マカオの今年(2014年)10月の月次カジノ売上が対前年23%減となり、5ヶ月連続の前年割れとなった。この結果を受けて大手投資銀行が発表したレポートでも、第4季にかけてもVIPカジノ部門の正念場は続き、VIPルームを運営する一部仲介業者がゲーミングテーブルをクローズするだろうと予想している。地元有力紙「澳門日報」が報じた。

マカオのカジノ業界関係者は、VIPルームの運営業者は政策の変化に対応し、事業構造の変革を進めるとみる。コスト削減のためゲーミングテーブルを一時クローズするとされる大手仲介業者もおり、経営体力の乏しい中小運営業者の中には廃業を余儀なくされるところもあるだろうとし、今後、VIPルーム運営業者の約3割が統廃合するとの見通しを語っている。

この関係者は、VIPカジノ不振の要因として、中国本土の反汚職キャンペーンの影響により、主要顧客基盤となる富裕層のマカオ訪問が減っていることを挙げている。

VIPルームのゲーミングテーブル1台を運営するにあたり、約10名のスタッフが必要になるとされ、毎月の人件費は10万パタカ以上となることから、富裕層の顧客が減少する中、複数のテーブルを維持することが経営コストの圧迫につながっているという。大手業者の場合、一時クローズというかたちで需要が戻るまでゲーミングテーブルを確保できるが、中小業者が廃業した場合、テーブルは大家にあたるカジノ運営企業に返還される。カジノ運営企業はテナントにあたる別のVIPルーム運営業者を探すのが一般的だが、富裕層が減少している中、新たな業者を見つけるのは難しい現状だ。

なお、11月に入って以降、VIPルームの客足は若干復調しているという。すでに底を脱したとの見方もあるが、大幅反発とはいい難い状況で、しばらく正念場が続きそう。

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

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