マカオLRT 地下方式で横琴延伸へ 中国版新幹線との乗継ぎ利便性考慮

マカオ政府運輸工務司の劉仕堯司長(交通インフラ担当相)は11月13日、現在マカオでマカオ線、タイパ線の2路線の建設工事を進めている新交通システム「マカオLRT」の広東省・珠海市横琴新区への延伸計画について、すでに具体的な設計に着手していることを認めた。

マカオLRTはマカオ初となる軌道系交通機関で、第1期プロジェクトはマカオ半島北部の關閘から外港フェリーターミナル、新口岸、南灣湖を経由して媽閣に至るマカオ半島線、媽閣から西灣大橋を経てタイパ島に入り、コタイ地区を通ってマカオ国際空港、タイパフェリーターミナルに至るタイパ線の2線、21駅、21キロメートル。開業予定はタイパ線が2016年、マカオ半島線が2018年頃の見込み。

マカオLRTの第1プロジェクトは、国際入札を経て日本の三菱重工と伊藤忠商事の共同体が駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式を46億8800万パタカ(日本円換算:約680億円)受注した。東京の「ゆりかもめ」と同タイプの日本製の車輌がマカオの街を走る予定。

横琴新区はマカオ・コタイ地区と珠江の河口の一部にあたる十字門水道を隔てて対岸に位置しており、中国が粤港澳(ユッゴンオウ=広東省・香港・マカオ)一体化のシンボルとして、香港とマカオ・広東省珠海市を結ぶ世界最大の架橋プロジェクト「港珠澳大橋(ホンコン・ジュハイ・マカオブリッジ)」と並ぶ「国家級」プロジェクトとして開発を進めている。面積はマカオのおよそ4倍あり、グローバル企業の華南地区本部、レジャー施設、漢方薬研究施設、教育機関などの誘致を目指している。

劉仕堯司長が明かしたところ、横琴新区への延伸計画について、延伸部の距離は約3.3キロメートル、マカオ・コタイ地区側の起点となる蓮花口岸駅(タイパ線と併用)は高架駅、そこから河底トンネルでボーダーを越え、横琴新区側の終点を地下駅とすることを想定しているとのこと。その理由として、横琴新区側のターミナル駅で、中国の高速鉄道との同駅舎内乗り継ぎを実現するためとしている。なお、建設工事の入札、着工時期などは現段階では未定とした。

マカオLRTと同じターミナル駅で接続を計画している中国の高速鉄道は「広珠インターシティ鉄道」と呼ばれる路線で、すでに広州と珠海の間が開通済み。中国版新幹線「和諧号」がこの区間を最速59分で結んでいる。今後、珠海から横琴新区を経由して、珠海空港まで延伸することが決まっている。

軌道上で試験を行うマカオLRT列車(写真:運輸基建辦公室)

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