中国富裕層、豪州VIPカジノ市場を席巻=マカオから転戦

中国で旧正月の大型連休がスタートした。例年、この時期になると多くの中国本土旅客がカジノ目当てに大挙してマカオを目指したものが、昨今ではマカオ以外のアジアのカジノ国への分散化傾向が見受けられるという。

目下、マカオのカジノ売上の大半を稼ぎ出すのがVIPルームだ。しかし、中国本土の反汚職キャンペーンの拡大やマカオ当局によるカジノ周辺の規制強化などを理由に、VIPカジノの主要顧客基盤である中国本土富裕層の中で、中国の一部にあたるマカオへの渡航意欲が減退しているとされる。事実、マカオのカジノ売上は昨年(2014年)6月から今年1月まで、8ヶ月連続で前年割れとなっている。

ちょうどマカオのカジノ売上の停滞が始まった時期と重なる昨年下半期、オーストラリアのカジノ大手2社のVIP部門の業績は絶好調だったようだ。最大手クラウン・リゾーツ社が2月19日に発表した決算内容によると、同社の旗艦施設クラウン メルボルンのVIPカジノ売上は86%増と急伸。一方、同社が3分の1を出資するマカオの合弁先で、シティ・オブ・ドリームズ マカオなどを運営するメルコ・クラウン・エンターテインメントから得られる利益は42%の大幅減となった。2位のエコーエンターテイメントについても、VIPカジノ売上はおよそ2倍となり、78%の大幅増益を達成したとする決算を2週間前に発表済み。

香港の日刊紙「アップルデイリー」が2月20日付電子版で報じた内容によると、クラウン・リゾーツ社のローウェン・クレイギーCEOは2月19日に実施したアナリスト向け説明会の中で、これまでマカオを訪れていた中国富裕層カジノ客の一部がオーストラリアへ行き先変更する動きが顕著となっていることが好業績の背景にあることを認めたという。今後、マカオのカジノVIP仲介業者との協力を強化し、さらに誘致を拡大して行くとする意向とのこと。

メルコ・クラウン・エンターテインメント社の旗艦施設「シティ・オブ・ドリームズ マカオ」(資料)=マカオ・コタイ地区—本紙撮影

メルコ・クラウン・エンターテインメント社の旗艦施設「シティ・オブ・ドリームズ マカオ」(資料)=マカオ・コタイ地区—本紙撮影

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