「中国人」自覚のマカオ学生、約半数にまで激減=香港の影響指摘、愛国教育強化へ

中国中央政府のマカオ出先機関、中央人民政府駐マカオ特別行政区連絡オフィス(中連弁)の李剛主任は3月5日、2007年から2011年までマカオ学生の中国人自認度が9割を維持していたが、昨年(2014年)後半に香港で発生した「セントラル占拠(=主要道路の占拠事件)」などの影響により、最近の調査で過半数程度にまで落ち込んだとし、マカオにおける青少年への「愛国教育」の必要性を説いた。

マカオの日刊紙「澳門日報」が3月6日付け紙面で報じた。マカオ学生の中国人自認度に関する調査は2007年からマカオ学連とマカオ青年研究会が2〜3年に一度実施しているもので、直近の調査は「セントラル占拠」後にマカオの中学校(日本の高校に相当)7校の学生766人を対象に実施されたという。

また、マカオの政府系放送局TDMが3月5日夜のラジオニュースで報じた内容によると、中国の国会にあたる全国人民代表大会の賀一誠常務委員は同氏の取材に対し、香港とマカオは近い位置にあり、マカオ人の多くが香港メディアの報道や香港人の挙動の影響を受けやすいと指摘。同氏は「愛国教育」は洗脳ではないとし、過去の不平等待遇から現在の世界の第一線に立つまでの中国近代史を学ぶことは青少年にとって非常に重要であるとコメントしている。

香港ではしばしば中国本土の主張と対立する行動も発生しているが、マカオではこれまで目立った行動が見られなかった。SNSの普及などに伴い香港とマカオの距離がより一層近づいている傾向があることから、中国中央が香港の影響がマカオに派生することを警戒しているようだ。香港と比較してマカオは中国本土への依存度が極めて高い。

マカオ特別行政区政府本部ビル(資料)—本紙撮影

マカオ特別行政区政府本部ビル(資料)—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ治安警察局は9月11日、マカオ国際空港の出発口にある保安検査場で別の旅客が置き忘れた腕時計…
  2.  マカオ司法警察局は9月11日、マカオの高齢者を狙った特殊詐欺(電話詐欺)事案に関与したとして30…
  3.  近年、マカオ政府文化局(ICM)では、文化資産のデジタル化を進め、多くの文物及び文化施設について…
  4.  マカオ金融管理局が9月11日に公表した今年(2024年)7月の住宅及び商業物件向けローン関連統計…
  5.  マカオ治安警察局は9月10日、同月4日に路線バスの車内で乗り合わせていた30代地元女性へ痴漢行為…

ピックアップ記事

  1.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  2.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年9月号
(vol.135)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun