マカオの高校生、自己紹介時「私は中国人」1割以下=「愛国教育」強化の動き活発に

マカオの高校生を対象とした世論調査で、自身を「中国人」と認識と回答する割合が減少傾向にあることが明らかになった。昨年(2014年)11月に実施された最新の調査では、中国人を自認するマカオの学生は55%となり、5年前の9割、3年前の8割から大幅に下落した。

マカオの日刊紙「澳門日報」が3月13日付紙面で報じた。この世論調査はマカオ学連と青年研究協会が2007年から2〜3年に1度の頻度で実施しているものという。調査対象はマカオ永久居民(マカオ永住権保有者)身分証を持つマカオの高校生800人で、うち600人がマカオ生まれという。

2007年、2009年の調査では、「中国人」と自認することに「十分同意」または「同意」と回答した学生がいずれも9割以上だったが、2011年の調査では8割となり、直近の2014年11月の調査では55%にまで急落。また、「十分同意」とした学生は2009年にはおよそ3分の1を占めたが、2014年の調査ではわずか22%に、「中国人というアイデンティティが自身にとって非常に重要」は2011年の62%から2014には37%へと下落している。

中国人自認度が右肩下がりとなる一方で、「マカオ人」と自認する学生は9割近くに達している。他者に対して自己紹介する際、およそ7割が「私はマカオ人」、1割強が「私は中国マカオ人」を使うと回答。「私は中国人」を使うとの回答は1割未満だった。「中国マカオ」は聞き慣れない言葉だが、一般的に海外におけるマカオの知名度が低いことから、「中国にあるマカオという都市だが中国と少し違う」というニュアンスで用いられる場合がある。

マカオ学生の間で中国人自認度が下落している要因について、調査を担当した研究グループでは、「近年のマカオの経済的繁栄」や「中国本土に関するネガティブ報道、香港など周辺地域における情勢による影響」を挙げている。

昨年香港で発生した学生主導による道路占拠事件や今回の世論調査の結果などを受け、マカオにおける青少年向け「愛国教育」の強化を模索する動きが活発となっている。

マカオは1999年12月20日にポルトガルから中華人民共和国に返還され、一国二制度の下、中華人民共和国マカオ特別行政区となった。

中国国旗とマカオ特別行政区旗(写真はイメージ)―本紙撮影

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