マカオ政府、2021年度の全市民への現金配布作業完了…1人あたり約13.6万円、14年連続実施

 世界一のカジノ売上を誇る都市として知られるマカオ。カジノ税という潤沢な財源を抱え、莫大な財政準備を誇るマカオ特別行政区政府は、インフレ対策や富の還元を理由に2008年から市民に対する現金配布を毎年実施している。

 現金配布は例年7月から9月にかけて実施されるが、昨年度と今年度は新型コロナ経済支援対策の一環として、3ヶ月前倒し実施されることになった。

 14年連続実施となる今年度の支給対象は前年末時点で有効なマカオ特別行政区永久性居民(永久居留権)及び非永久性居民(臨時居留権)IDカードの保有者(所得、年齢、居住地といった要件は設定していない)で、支給金額は前者が1万マカオパタカ(日本円換算:約13.6万円)、後者が6000マカオパタカ(約8.2万円)。支給額はいずれも前年から据え置き。

 マカオ政府財政局は5月25日、4月12日からスタートした今年度の現金配布作業について、5月21日をもって完了したことを明らかにした。所要日数は例年より5週間の短かったという。銀行振込による支給対象者(公務員及び事前登録者)が48万4824人、小切手の郵送による支給対象者が24万4599人おり、支給総額は71億1963万8000マカオパタカ(約969億円)だったとのこと。同日までの小切手の現金化率は51.6%という。

 マカオ特別行政区では、新型コロナ経済支援として、現金配布の前倒し以外にも、電子決済プラットフォームを活用した「電子ディスカウントスキーム」を6月1日から実施する。マカオ永久性居民と非永久性居民が対象で、1人あたり5000マカオパタカ(約6.8万円)分を電子決済プラットフォームの個人用アカウントに付与し、消費する際に25%の割引が自動適用されるというもの。1日あたりの消費額上限は300マカオパタカ(約4100円)、割引額の累計上限は3000マカオパタカ(約4.1万円)。実施期間は今年12月末までとなる。マカオ政府は前年も1人たり合計8000マカオパタカ(約10.9円)分の電子商品券を永久性居民と非永久性居民に配布している。

 なお、コロナ禍でカジノ売上は低迷していることを受けて、政府は緊縮財政を敷いている。昨年度及び今年度については、財政準備の超額準備分からの拠出金によって財政赤字を埋めている状況。

マカオ特別行政区による現金配布で市民に郵送される小切手のイメージ(資料)—本紙撮影

マカオ特別行政区による現金配布で市民に郵送される小切手のイメージ(資料)—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ政府衛生局は4月23日夜、マカオで「人食いバクテリア」と呼ばれる細菌のひとつ、ビブリオ・バ…
  2.  このほどマカオ政府財政局が公表した最新の財政収支資料によれば、今年(2024年)1〜3月累計の歳…
  3.  今年(2024年)6月23日から7月3日にかけて、マカオでISF(国際学校スポーツ連盟)「ワール…
  4.  マカオ・コタイ地区にある統合型リゾート(IR)グランドリスボアパレス(上葡京)で4月22日、世界…
  5.  マカオの統合型リゾート(IR)運営企業SJMリゾーツ社は4月22日、マカオ特別行政区の成立25周…

ピックアップ記事

  1.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun