マカオ、建設中・設計段階のホテルが34軒、約8千室分…2021年4Q=客室供給数は現状1.2倍の4.67万室規模に

 近年、マカオでは新興埋立地のコタイ地区及びマカオ半島の新口岸地区を中心に大型カジノIR(統合型リゾート)、ホテルを含む複合ビル等の建設ラッシュが続いている。コロナ禍でも状況に大きな変更はない。

 マカオ政府土地工務運輸局は2月9日、昨年第4四半期(2021年10〜12月)時点で建設中のホテルが15軒、設計段階(5年以上更新のないプロジェクト含まず)のものが19軒あり、供給客室数は前者が6207室分、後者が1867室分に上ることを明らかにした。昨年第3四半期と前年同時期との供給客室数を比較すると、建設中のホテルで13.43%減と27.88%減、設計段階で横ばいと17.68%減となった。(エリア別内訳は文末のデータ参照)

 マカオ政府統計調査局の資料によれば、昨年12月末時点で営業中のホテル数は前年同時期から1軒減の118軒(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用として政府が借り上げたホテルの客室分は含まず、以下同)、客室供給数は10.3%増の3.87万室となっている。

 目下、新型コロナ防疫対策の一環として水際措置が強化される中、政府が一部のホテルを隔離検疫施設として借り上げている。通常とは異なる状況のため、参考のための比較とするが、昨年12月末の数字に建設中及び設計段階の数を加えると、将来的にホテル数が152軒、客室供給数が4.67万室で、約前者が1.3倍、後者が約1.2倍規模となる。

 マカオのホテル開発をけん引するのがカジノIR運営会社だ。マカオ政府とカジノ運営コンセッションを締結するのは6陣営で、現行コンセッションの満期が2022年6月に迫っている。政府はコンセッションを延長ではなく再入札とする方針を示している。よって、これを跨ぐプロジェクトを計画しにくい状況にあることから、設計段階のホテル数に影響しているものとみられ、これから次期コンセッションの行方がある程度見えるまでの間は過渡期となりそうだ。

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリなどの国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られ、2019年の年間インバウンド旅客数は過去最多の約3940万人、平均客室稼働率は90.8%に上った。

 しかしながら、コロナ禍に見舞われた2020年はインバウンド旅客数が対前年85.0%減の589万6848人(宿泊を伴う旅客の割合は47.9%)に急落し、ホテル客室稼働率も68.0pt下落の22.8%に。2021年についてはインバウンド旅客数が30.7%増の770万5943人、ホテル客室稼働率は前年から21.4pt上昇の50.0%まで回復したものの、2019年比では依然として大幅なマイナスとなっている。

 なお、マカオと中国本土との間については、条件付きではあるものの隔離検疫免除での往来が再開済み。中国本土以外の国・地域については、入境後に隔離検疫が必須となるほか、外国人の入境が原則禁止とされるなど、厳しい制限が存在する。目下、マカオにおけるインバウンド旅客は中国本土からが主となっている。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の夜景(資料)=2020年7月本紙撮影

【資料】
2021年第4四半期時点で建設または設計段階のホテルデータ(エリア別)
<マカオ半島>
・建設中:10軒 1191室
・設計段階:16軒 1025室
<タイパ島>
・建設中:1軒 126室
・設計段階:1軒 301室
<コタイ地区>
・建設中:4軒 4890室
・設計段階:1軒 84室
<コロアン島>
・建設中:なし
・設計段階:1軒 457室

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