マカオ、カジノ業界の人材需要低迷続く…ゼロコロナ政策影響=2022年第2四半期

 マカオは面積約32平方キロ、人口約68万人という小さな地域(中国の特別行政区)だが、およそ40軒のカジノ施設が軒を連ねるほか、競馬、サッカー及びバスケットボールを対象としたスポーツくじ、ロトといった各種合法ギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。

 マカオ政府統計調査局は9月7日、今年第2四半期(2022年4〜6月期)のゲーミング(カジノ含むギャンブル)業界における人材ニーズ及び給与調査統計を公表した。なお、本統計の調査対象にはカジノ仲介業(ジャンケットプロモーター)及びカジノ仲介業パートナーは含まれない。

 今年第2四半期末時点のフルタイムのゲーミング業従事者数は前年同時期から2176人減(3.9%減)の5万3592人。カジノディーラー職に限ると550人減(2.2%減)の2万4093人だった。

 今年6月のフルタイムのゲーミング業従事者の平均月額報酬(賞与等臨時給含まず)は前年同月から1.8%減の2万3270パタカ(日本円換算:約40.9万円)。カジノディーラー職に限ると2.9%減の1万9370パタカ(約34.1万円)。

 今年第2四半期末時点における空きポジションは前年同時期から37枠減のわずか19枠にとどまった。

 求人条件については、要業務経験が10.5%、高中(日本の高校に相当)卒または高中卒以下が78.9%。また、要中国語(いわゆる北京語)と要英語がそれぞれ100%、89.5%。

 今年第2四半期の新規雇用者数は143人、離職者数は816人で、従業員雇用率は前年同時期から0.5ポイント下落の0.3%、離職率は0.3ポイント下落の1.5%、欠員率はほぼゼロとなり、新型コロナの影響が長期化する中、依然として業界における人材需要の低迷が続く状況を反映したものとなった。

 なお、今年第2四半期のマカオの人口は67.73万人(期末)、労働人口は37.81万人、就業人口は36.42万人、総体失業率は3.7%。ゲーミング業従事者がマカオの総人口に占める割合は単純計算で7.9%、就業人口の14.7%となる。平均月収については、今年第2四半期のマカオの就業人口全体の月給中位数である1万5300パタカ(約26.9万円)を大きく上回った。

 マカオでは、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う入境制限を含む防疫対策強化等によってインバウンド旅客数が激減している状況で、これに比例してカジノ売上も低迷を余儀なくされている。世界的にはウィズコロナ政策への転換が進み、米国ラスベガス、シンガポール、フィリピンなどではカジノ売上が急回復する一方、マカオでは中国本土に追随してゼロコロナ政策を堅持しており、明暗がはっきり分かれるかたちとなっている。

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

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