中国本土旅客減…訪マカオ外客数6年ぶり下落=単一市場依存の是正急務

マカオは人口64万人、面積30平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリなどの国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られる。

訪マカオ外客数は2014年に史上初めて3000万人の大台を突破する3152万人を記録したが、2015年には前年から2.5%減となる3071万人で、6年ぶりのマイナス成長となった。香港や台湾からの旅客は若干増えたが、7割近いシェアを占める中国本土旅客が4.0%減だったことが響いた。

1月28日、中国中央政府のマカオ出先機関、中央人民政府駐マカオ特別行政区連絡オフィス(中連弁)が新春レセプションを開催。会場で地元メディアの取材に応じた中連弁の李剛主任は2015年の訪マカオ外客数について質問を受けた際、3000万人を上回っており、前年とほぼ同じであることから、理想的な数字であるとの認識だが、今後もし大幅に下落するようなことがあれば、国家として施策を打ち出しサポートすると回答したとのこと。

マカオは1999年にポルトガルから中国に返還されたが、以降も独自の出入境管理を行っている。中国本土籍の旅客がマカオを訪れる際、個人渡航者向け入境許可証を取得するのが一般的だが、およそ2〜3ヶ月に1回といった形で一定期間内の入境回数などに制限が設定されている。また、申請できるのは一部の省市に戸籍を持つ住民に限られる。

このほか、マカオを経由して中国本土と第三国・地域との間を往来する旅客のために設けられた「通過ビザ」に相当するトランジット滞在制度を利用する方法もある。ただし、実際に第三国・地域へ渡航せず、マカオ滞在を目的として利用されていることが問題となり、2014年7月から運用が厳格化された。

上記のように、中国本土の住民が誰でも自由にマカオへ渡航できるわけではなく、一定のハードルをクリアする必要があるのが現状だ。つまり、ハードルの高さを調整することで、訪マカオ旅客数の増減を自在にコントロールできるというわけだ。

ちなみに、2015年の訪マカオ外客数のうち、中国本土旅客が66.5%、中国本土に香港と台湾を加えたグレーターチャイナ(大中華圏)旅客が占める割合は90.9%にも達した。2014年以降、マカオ政府はカジノ一辺倒からの脱却を図るべく、総合リゾート都市「ワールド・センター・オブ・ツーリズム&レジャー」を目指す方針を掲げている。ただし、実現のためにはグレーターチャイナ旅客の数を維持しつつ、その他アジア、オセアニアや欧米といった国際旅客のボトムアップによるシェア適正化が急務といえよう。

マカオを代表する観光名所の1つ、世界遺産・聖ポール天主堂跡(資料)—本紙撮影

マカオを代表する観光名所の1つ、世界遺産・聖ポール天主堂跡(資料)—本紙撮影

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