マカオ、コロナ禍で労働市場縮小…海外労働者の就労許可更新に慎重姿勢

 マカオでは、近年の経済発展を追い風に人材需要が高まり、ここ数年の失業率は過去最良水準の1%台後半で推移していた。

 しかしながら、国際観光都市であるマカオの経済はインバウンド依存が極めて高く、新型コロナ防疫対策による入境制限によるインバウンド旅客の激減で大打撃を受けている。

 コロナ禍で労働市場が縮小。失業率は上昇を続け、マカオ政府統計調査局が8月27日に発表した最新の今年(2020年)5〜7月期には相対失業率が2.7%、マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)に限った失業率は3.8%に達し、およそ10年前の水準に逆戻りした。

 また、これまで地元マカオの人材供給不足を受け絵海外労働者(中国本土、香港、台湾を含む)で補う流れが続いたが、大きな状況の変化によって、海外労働者数も減少に転じている。

 マカオ政府労工事務局(DSAL)の黄志雄局長は8月29日、マカオ科技大学内で開催中のユースキャリアエキスポ(青年向けの就職フェア)の会場を訪れた際に囲み取材に応じた。同氏によれば、年初以来、マカオ居民3458人が会社都合退職になったことを把握しており、海外労働者の雇用枠は約1万3000人分減少したとのこと。海外労働者は地元人材の不足を補うものとする政府方針に沿った地元優先の施策を堅持し、海外労働者の就労許可更新に慎重な姿勢で臨んでいるとした。

 労働市場の縮小に伴い、地元マカオの新卒者及び青少年の就職活動も難航しているという。今回の青少年就職フェアは2日間にわたって開催され、出展企業が想定する採用枠は約3000人分用意されているとのこと。会場では、出展企業によるブースのほか、労工事務局による履歴書に関する指導、キャリアプラン相談、模擬面接といったサービスの提供や新興産業に関するセミナーなどの座学も用意されている。初日の午後5時までに会場内で122人が会場内で企業の面接を受け、30人が内定を得たという。

 近日、中国本土からの観光旅行の段階的な再開が発表された。マカオの総インバウンド旅客数に占める中国本土旅客の割合は約7割で、9月以降にインバウンド旅客の回復が見込まれ、経済効果も期待されている。

約60社が出展した「ユースキャリアエキスポ」会場の様子=2020年8月29日、マカオ科技大学(写真:DSAL)

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