マカオ、独ビオンテック製新型コロナワクチンの接種を約2週間ぶり再開へ

 マカオでは、2月9日から新型コロナワクチンの接種がスタート。すでに接種対象は全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)及びマカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う非居民の学生らへも拡大されている。

 現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(欧州製)の2種。接種希望者は2つのワクチンの中から自由に選択することができる。

 しかしながら、3月24日にマカオに供給された10万回分の独ビオンテック製ワクチンのうち複数ボトルにおいてパッケージの一部(キャップ部)に瑕疵が見つかったことから、同日から接種が一時中止となり、代理店及びメーカーによる調査が進められてきた。

 マカオ政府衛生局(SSM)は4月2日、独ビオンテック社から新たに1万9500回分のワクチンが同日にもドイツから香港経由でマカオに到着するとし、3日正午から接種予約、5日から接種をそれぞれ再開すると発表。接種中止期間中に予約をしていた人については、再度予約を取り直す必要があるとのこと。

 SSMによれば、今回マカオへ供給されるワクチンについては、前回瑕疵が発生したものと別の工場で製造されたもので、複数回に及ぶ気圧テストに合格したという。

 なお、代理店及びメーカーからSSMに届いた中間報告書では、キャップ部に瑕疵が発生した根本原因については、金属製のキャップを圧着する工程で不備があったためとのこと。ワクチンは超低温で保管されていたこともあり、様々な検査の結果、安全リスクの存在は確認されなかったとされたとし、接種済みの市民に対して心配する必要はないと呼びかけた。

ビオンテック製のmRNAワクチンの接種を受けるマカオ居民=2021年3月3日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオ政府新型コロナウイルス対策センターが4月2日夕方発表した資料によれば、同日午後4時までに接種予約を済ませた人は延べ9万7682人おり、このうちすでに接種を受けた人は5万3626人とのこと。参考までに、マカオの人口は約69.3万人。

 なお、マカオではワクチン接種は希望者のみを対象としている。費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3400円)となる。政府はポルトガル系のフィデリダーデ・マカオ社と不良副反応・副作用に関する保険契約も締結済みで、保障期間は接種後90日間、補償額は1人あたり最大100万マカオパタカ(約1360万円)とのこと。

 ここまでのマカオにおける新型コロナの感染確認数は累計48人。内訳は域外からの輸入性が46人、輸入関連性事案が2人。市中感染例は4月2日まで369日連続ゼロを維持しており、封じ込めに成功している状況。院内感染、死亡例についてもゼロ。

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ政府金融管理局は5月6日、今年(2024年)3月の貨幣・金融統計を公表。内容のサマリーは下…
  2.  マカオ政府統計調査局は5月6日、今年第1四半期(2024年1〜3月期)の企業統計を公表。 …
  3.  アジア有数の観光デスティネーションのマカオでは、年間最大の書き入れ時のひとつとなる五・一(労働節…
  4.  マカオ司法警察局は5月3日、同月1日にタイパ島のマンションの一室で男女の争う声がするとの近隣住民…
  5.  アジア有数の観光デスティネーションのマカオでは、年間最大の書き入れ時のひとつとなる五・一(労働節…

ピックアップ記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun