中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は1852人…上海は2日連続1500人以下、北京では膠着状態=5/11

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月12日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月11日の中国本土における新規市中感染確認者数は222人(前日から80人減)だったとのこと。内訳は、上海市144人、北京市35人、河南省21人、青海省13人、吉林省3人、広東省3人、遼寧省2人、貴州省1人。このうち上海市の106人、遼寧省の2人、北京市の1人、貴州省の1人の計111人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは208日連続、12日連続で1千人以下となった。

 市中の無症状感染例は1630人(前日から85人増)。内訳は、上海市1305人、遼寧省85人、河南省77人、江蘇省47人、四川省25人、青海省25人、浙江省20人、江西省14人、北京市11人、河北省10人、貴州省4人、吉林省2人、広東省2人、広西チワン族自治区2人、山東省1人。

 無症状を含む新規感染者数は1852人で、12日連続1万人以下に。このうち上海市の報告数が1449人に上り、全体の78.2%を占めた。

 5月11日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は7229人(うち輸入性が171人)で、重症者は444人(輸入性はゼロ)。無症状の患者7万5532人(輸入性434人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・上海(資料)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態が続き、依然として本格的な解除時期は見通せない状況。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落傾向にある。11日まで2日連続1500人以下を維持した。このところ全体に占める割合も低下傾向で、11日は7割台に。市当局は11日、新たに徐匯区が社会面基本清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)基準に達したとの見方を示した。ここまで8つの区と浦東新区の一部が同基準を達成したとされる。

 4月22日以降、北京市でも感染例の出現が相次ぐ。11日午後3時までの累計感染者数は892人に上った。依然として市中に見えない感染源が存在するとされ、職域クラスターの出現も相次ぐ。市当局は、現状は膠着状態にあるとの見方を示し、早期に状況を打破するため、確実かつ迅速な対応を講じていくとした。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市では5月7日から倉庫会社を発端とした感染者の出現が続いている。中山市当局は5月11日、防疫措置強化の一環として、市外からの到着者に対して48時間以内のPCR検査陰性証明の提示を必須とし、到着後3日間以内に3回のPCR検査受検(24時間以内PCR検査陰性証明提示の場合は1回)、移動を特定の点と点の間のみに制限するなどの措置を講じると発表。同市と隣接する珠海市香洲区、広州市南沙区などからの通勤者についてはリスト化した上で市内移動扱いされるという。

 マカオ特別行政区では5月11日まで213日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月11日までの累計は約119.4万人(無症状含む)、死亡者数は9142人、死亡率は0.765%に。11日単日では280人(輸入性32人含む)で、2日連続上昇となったが、11日まで18日連続で500人以下を維持。目立ったリバウンドは発生していない。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  アジア有数の観光デスティネーションのマカオでは、年間最大の書き入れ時のひとつとなる五・一(労働節…
  2.  マカオ政府地球物理気象局(SMG)は5月3日、今年(2024年)4月の天気レビューを発表。 …
  3.  国際展示会大手のリード・エグジビションズ(RX)は5月3日にマカオで会見を開き、今年(2024年…
  4.  マカオ政府財政局(DSF)が5月2日に公表した最新統計によれば、今年(2024年)4月前半の住宅…
  5.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…

ピックアップ記事

  1.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  5.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…

注目記事

  1.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun