香港の新型コロナ新規市中感染確認者数は1186人…5日連続1千人超、増加ペース緩やかも見通し困難=6/20

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、このところ再び増加に転じている。

 香港衛生当局が6月20日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から25人増の1186人。内訳はPCR検査経由が435人、迅速抗原検査軽油が751人。5日連続で1千人超となった。

 輸入性は26人増の141人。このうち72人が空港到着時の検査で発見に至ったもの。

 市中と輸入性の合計は前日から51人増の1327人、1千人超となるのは6日連続。第5波開始以来の累計感染確認数は約121.5万人。

 新規の死亡報告数は1人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9183人。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が3ケタに達したほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1など)の伝播につながったケースなどもある。

 週末分を含む20日の学校からの陽性報告数は289校の408人(学生335人、教職員73人)で、20日朝の報告分に限ると108人。直近2週間は対面授業再開後の平均水準を大きく上回る状況が続く。また、このところオミクロンBA2.12.1の市中感染確認が相次ぐ。

 当局は20日夕方の会見において、現在のリバウンドは第5波の初期と比較して感染者の増加ペースが緩やか(10〜14日間隔で倍増)となっており、多くの人がワクチンを接種したことで免疫力を得たことと関連する可能性があるとの見方を示した。ただし、今後どの程度まで増加するか、いつまでリバウンドが続くのかについては、現時点で見通せないとのこと。

 6月19日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.5%(1回目の接種完了)、88.2%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。19日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万0272回で、7日移動平均は1万9722回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(75.35%)、70〜79歳(81.55%)、80歳以上(68.62%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

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