台風警報下のマカオで「時価」タクシー暗躍

台風15号「カモメ」の接近に伴い、9月16日未明から午後1時にかけてマカオでは台風警報レベル8が発令された。公共交通機関が基本的に運休となり、カジノの無料シャトルバスも大半が運転を見合わせたことから、タクシーが唯一の交通手段となり、悪徳ドライバーの言い値による「時価」営業が横行したという。

タクシードライバーがメーターを使用せず、言い値で料金を決めることは違法行為にあたる。このような行為は日常的に出入境施設やカジノ周辺で散見されるほか、悪天候時には増加傾向にある。マカオ政府治安警察局と交通事務局が共同で取り締まりを行い、今回の台風警報発令中に27件の違法行為を摘発した。違法行為の大半が法外な料金を乗客に請求したものだったという。

今回の台風下では、特にマカオ半島北部にある中国本土と徒歩で往来可能な關閘イミグレーション前のタクシー乗り場で堂々と違法営業が行われていたと17日付の地元有力紙「澳門日報」などが報じている。路線バス、カジノの無料シャトルバスが運休する中、タクシー乗り場には数百人の長い行列ができていたという。通常営業するタクシーを横目に、一部の悪質なタクシードライバーが窓を開けて言い値の運賃で客引きをする行為も多数見受けられ、その金額はマカオ半島内で100〜200パタカ(日本円換算:約1,340〜2,680円)、タイパ島、コタイ、コロアン島の離島地区で300〜1,000パタカ(約4,020〜13,400円)にも上ったという。仕方なく相乗りで利用する客もいたという。また、タクシー乗り場付近には違法タクシーの客引きを行う「仲介人」や、個人の自家用車による白タク営業なども出現した模様。

現在、マカオではタクシードライバーの違法行為に対する罰則強化やおとり捜査を可能にする、いわゆるタクシー新法制定に向けた準備が進められており、市民の間では早期実現を求める声が高まっている。

タクシー乗り場(資料)—本紙撮影

タクシー乗り場(資料)—本紙撮影

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