マカオで論議、マンガ喫茶は違法宿泊施設か?=当局が調査に着手

近日、マカオで営業中のいわゆる「マンガ喫茶」について、違法宿泊施設にあたるのではないかとの指摘があり、当局が調査に着手していることがわかった。マカオではホテル価格が高騰しており、格安宿泊施設の数も少ないことから、中国本土や香港からマカオを訪れる若い旅行者の間で人気を博しているという。

マカオの日刊紙「澳門日報」が1月18日付紙面で報じた。議論の対象となっているマカオ版のマンガ喫茶は、マカオの中心部にある商業ビルの1フロア、およそ930平米を使って「図書休憩室」の名前で2年前から営業しているという。日本のマンガ喫茶と似た雰囲気で、閲覧席として一般のリクライニングソファ席、4人用と5人用の個室型VIPルームが用意されているほか、フロアには多数のマンガや雑誌などの蔵書が並ぶ書棚、マッサージチェア、ロッカー、充電用のコンセント、シャワールーム、無料Wi-Fiといった設備やサービスがあるという。一般席の利用料は1時間あたり30パタカ(日本円換算:約440円)で、最大課金は10時間分、VIPルーム利用の場合は1時間あたり35パタカ(約510円)が追加されるとのこと。また、中国本土のインターネット通販サイト「タオバオ」を通じて事前申し込みと決済を行う場合、事実上翌朝まで過ごせるコースを格安な価格で利用できるようにもなっているという。

しかしながら、この施設では、ビルの営業時間の関係で、午後10時から午前8時まで間、出入りが遮断されるという。事実上、ビルの中に缶詰となることから、消防上、衛生上の問題も指摘されている。

施設側では、夜通しの利用は推奨しておらず、あくまでも顧客の自由意志に基づくものとしているという。また、シャワー設備は従業員向けのものであり、顧客に貸し出しているとの認識だ。よって、シャワーブース内には洗髪料などは設置されていないとのこと。

この施設について、インターネットの交流サイト上では、立地の良さや価格の安さを挙げ、費用対効果が高いとする意見が多かったというが、午後10時から午前8時までの間の出入りが制限されることに関して火災などの緊急事態が発生した場合への対応を懸念する意見も見受けられた。

マカオでは一般向けに有償で宿泊場所を提供する場合、厳格な基準に基づいた審査を経て、ホテル営業ライセンスを獲得する必要となる。一方、「休憩」については、許認可制のサウナやマッサージ店などの一部業種を除き、法律上明確な規定がないことから、グレーゾーンともいわれている。違法宿泊施設問題を管轄する旅遊局では、すでにこのマンガ喫茶に対する調査に着手しているといい、明らかな違法行為があると判断した場合、施設の封鎖などの措置に踏み切るとしている。

日本ではすでにお馴染みの存在となっているマンガ喫茶だが、マカオではこれまでになかった新しいサービスであることから、今後当局がどのように対応するのかが注目される。

合法宿泊施設への宿泊を呼びかけるチラシ(旅遊局ウェブサイトより)

合法宿泊施設への宿泊を呼びかけるチラシ(旅遊局ウェブサイトより)

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