東南アジアの新興カジノ国が中国人ギャンブラーを吸引、マカオは試練の時期

中国の反汚職キャンペーンの影響を受け、アジア各地のカジノ売上が下落しているという。マカオでは今年(2015年)上半期に前年同期比37%減となったほか、ゲンティンハイランド(マレーシア)やシンガポールにも影響が及んでいるという。

一方、新興カジノ国となるフィリピン市場については、上半期のカジノ売上が同16%増の14億米ドルに達し、フィリピンカジノ運営公社PAGCORでは、通年で2割増となる30億米ドルを見込んでいるとのこと。

マカオの日刊紙「澳門日報」がブルームバーグの報道を引用して報じた。フィリピンのカジノ市場は中国人ギャンブラーを主要ターゲットとしており、マカオの仲介業者も進出しているという。また、シンガポールでは、中国人VIPギャンブラーを対象にした中国本土とシンガポールを結ぶ無料フライトを毎週運航し、エンターテイメントショー、医療サービス、子女の留学手配などを組み合わせたパッケージまで用意して集客をしているとのこと。

シンガポールのカジノ税は20%以下であり、フィリピンでは中国人旅客に対するビザ免除措置を実施している点など、マカオと比較して有利な政策であることから、マカオにとって顧客流出の脅威に晒されているといえる。なお、マカオのカジノ税は約40%、中国本土からマカオへ渡航するためにはビザに相当する入境許可証の取得が必要となり、渡航回数や滞在時間にも制限が多い。

マカオにとって試練の時期を迎えているといえるが、マカオ政府はカジノ一辺倒から脱却する好機と捉え、カジノIR施設運営企業の間でも、ノンゲーミング分野の魅力拡充に取り組む姿勢が鮮明となっている。

マカオの大型カジノIR(統合型リゾート)施設集積エリア、コタイ地区の夜景(資料)=2015年3月(写真:GCS)

マカオの大型カジノIR(統合型リゾート)施設集積エリア、コタイ地区の夜景(資料)=2015年3月(写真:GCS)

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