香港・マカオ通貨に不利な為替相場で中国本土旅客流出、大手コスメ量販店会長が嘆き

中国本土旅客への依存度が高い香港、マカオの小売業者の間で、昨今の中国人民元の対米ドル基準値の相次ぐ引き下げ(いわゆる人民元の切り下げ)や中国株式市場の不安定な値動きによる購買動向の変化に注目が集まっている。

マカオの月刊英字経済紙「マカオビジネス」が8月21日付電子版で報じた記事によると、香港・マカオを中心に「SaSa」ブランドのコスメティック雑貨量販店をチェーン展開するササ・インターナショナル・ホールディングスのサイモン・クォック(郭少明)会長が8月19日の株主総会後に取材を受けた際、中国本土旅客の香港・マカオにおける購買力が低下するとの懸念を示したという。

クォック会長は、両地の法定通貨、香港ドルとマカオパタカの為替レートはいずれも米ドルと連動しており、ユーロ、日本円、韓国ウォンに対して割高で不利な状態にあることを理由に一部顧客の香港・マカオ離れも予想されると指摘。香港・マカオの小売業者にとって年間最大の書き入れ時となる10月頭の中国国慶節の大型連休中の売上見通しについても悲観的だとした。

かつては買い物目当ての中国本土旅客が大挙して訪れた香港・マカオだが、昨今の為替相場の変動を受けた中国本土旅客の流出が見受けられるといい、「爆買い」の主戦場がより割安感のあるヨーロッパ、日本、韓国へ移ったとされている。

マカオ・コタイ地区のカジノIR(統合型リゾート)施設内にあるSaSa店舗(資料)—本紙撮影

マカオ・コタイ地区のカジノIR(統合型リゾート)施設内にあるSaSa店舗(資料)—本紙撮影

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