マカオの9月カジノ売上、出足好調も月間では昨対3割減予測、下げ幅縮小=投資銀行各行

マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年8月まで15ヶ月連続で前年割れとなり、低迷が長期化の様相を呈している。今年1〜8月の累計カジノ売上は36.5%減の1588.8億パタカ(日本円換算:約2兆3965億円)にとどまる。

8月の夏休みシーズンと10月頭の国慶節の連休に挟まれた9月はカジノ売上も「谷間」となるオフシーズンにあたる。

マカオの日刊紙「澳門日報」が9月10日付紙面で報じた記事によると、投資銀行が発表した最新レポートの中で、9月第1週(1〜6日)の1日あたり平均カジノ売上が6.05億パタカ(約91.3億円)となり、前月(8月)の1日平均から約1割増だったという。

これについて、マカオのゲーミング(カジノ)業界関係者は、中国本土パスポート保有者に対するマカオトランジット滞在規制が今年7月から緩和されたことが効果を挙げたとの見方を示したとのこと。ただし、例年9月のカジノ売上は8月と比較して低い水準にあることや、国慶節連休前のオフシーズンで客足が伸びない可能性、さらに、軟調な中国株式市場の推移も見極める必要があるとしている。また、マカオのゲーミング業界が直面する最大の課題は、ビザ規制緩和やその他の利便性向上策で中国人富裕層の誘致を狙う周辺地域へのギャンブラーの流出と指摘する。

マカオの9月カジノ売上について、投資銀行各行は概ね前年同月比3割減で、下げ幅が縮小するとの予測を発表している。

HSBC証券は、9月1〜6日のマカオのカジノ売上を41億パタカ(約618億円)とした。1日平均売上は約6.83億パタカ(約103.0億円)となり、8月の6.01億パタカ(約90.7億円)から顕著な上昇。9月3日が中国人民抗日戦勝70周年記念日で休日化され、3連休となったことによる消費増が主因とのこと。ただし、9月2週目以降、月末の中秋節、翌月頭の国慶節連休まで比較的静かな状態が続くとし、1日平均売上は5.5〜5.7億パタカ(83.0〜86.0億円)、月間では前年同月比30〜33%減の173〜178億パタカ(約2610〜2685億円)との予測。

バークレイズでは、9月1〜6日のマカオの1日平均カジノ売上が6.05億パタカ(約91.3億円)となり、8月の1日平均5.5億パタカから良化、8月24〜31日の1日平均6.07億パタカ(約91.6億円)とほぼ同じであるとした。同行では、9月2週目から月末までの1日平均ゲーミングテーブル売上を5.3億パタカ(約79.9億円)、これにスロットマシン分の約10億パタカ(約151億円)を加え、9月の月間カジノ売上を前年同月比30%減の174億パタカ(約2625億円)と予測。下げ幅は8月の35.5%、7月の34.5%から縮小するとの見方。

野村は9月1〜6日の1日平均カジノ売上を6.05億パタカ(約91.3億円)とし、前週と同水準を維持、8月の1日あたり平均5.5億パタカ(約83億円)から1割上昇とした。これまでの経験から10月頭の国慶節連休前にはスローダウンが見込まれるとし、9月2週目から月末までの1日平均を5.3億パタカ(約79.9億円)、9月の月間カジノ売上を前月比4%減、前年同月比31%減の164億パタカ(約2474億円)と予測。

クレディ・スイスでは9月のマカオのカジノ売上について、前年同月比の下げ幅が縮小すると予測。前月実績のうち、マスゲーミング(平場)部門の売上が前年同月比21%減、対前月では4%上昇となり改善が持続しているとのこと。一方、VIP部門は弱体化が続いており、前月は前年同月比47%減だったという。同行では、9月のマカオのカジノ売上は前年同月比30〜32%減とした上、市場のマカオマクロ経済のネガティブ要素に対する反応は過敏とし、業界のファンダメンタルズの安定が無視されていると指摘した。

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

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