マカオのカジノ大手、VIPルームを平場へ改装の動き=市場の変化に対応

2002年のカジノ経営ライセンスの対外開放以降、長年にわたって右肩上がりの成長を遂げてきたマカオのカジノ売上だが、このところ低迷が長期化の様相を呈している。

マカオの月次カジノ売上は、昨年6月から今年8月まで15ヶ月連続で前年割れを記録し、今年1〜8月の累計カジノ売上は前年同期比36.5%減となる1588.82億パタカ(約2兆3844億円)にとどまる。

昨今のマカオのカジノ売上減については、中国本土富裕層を中心としたハイローラーと呼ばれるVIPカジノ客の流出によるものとされ、中国本土における経済の減速や反汚職キャンペーンの拡大などの影響が指摘されている。一方、平場にあたるマスゲーミング部門は比較的堅調に推移している。

マカオでカジノ経営ライセンスを保有する6陣営の一角で、「リスボア」ブランドのカジノ施設などを展開するSJMホールディングスのアンジェラ・リョン業務執行取締役は9月30日、昨今のカジノ市場低迷に関する地元メディアの取材に対応した際、自社カジノ施設内にあるVIPルームの閉鎖に伴い、一部をマスゲーミングフロアに改装して再オープンする動きを進めていることを明かした。その理由として、市場の変化に対応し、マス及びハイエンド・マス顧客を吸引できるプロモーションを展開することで、てVIPルームへの依存度を下げるためとした。なお、将来的に再びVIPルームに戻すことについては時勢を見て柔軟に対応するとし、不可能なことではないとの考えという。

カジノ運営各社では不振が続くVIPに代わり、堅調なマスゲーミング部門の中でも、特にハイエンド・マスと呼ばれる準VIP層の集客強化を図り、新たな売上の柱に育てたい思惑がみてとれる。

マカオ半島の中心部に位置するSJMホールディングスの旗艦施設「グランドリスボア」(資料)—本紙撮影

マカオ半島の中心部に位置するSJMホールディングスの旗艦施設「グランドリスボア」(資料)—本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は6月30日、客との共謀による不正行為でカジノ運営企業からゲーミング(カジノ)チ…
  2.  マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は7月1日、今年(2025年)6月の月次カジノ売上(粗収益、…
  3.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は6月30日、今年(2025年)3〜5月期の雇用統計を公表…
  4.  中国では、東京電力福島第一原子力発電所からの「ALPS処理水」の海洋放出をきっかけに、2023年…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は6月26日、中国旅遊研究院が発表した「2024年中国ツーリストアウ…

ピックアップ記事

  1.  今年(2025年)に入って以降、マカオ政府が新交通システム「マカオLRT」の新路線計画を相次いで…
  2.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  3.  マカオ政府は6月9日午後5時からマカオ政府本部ビルで特別会見を行い、SJMリゾーツ社、メルコリゾ…
  4.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…

注目記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  4.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…

イベントカレンダー

7月 2025
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31    
« 6月   8月 »
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年7月号
(vol.145)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun